AT&TのT-Mobile買収、米司法省が独禁法で提訴

AT&Tが3月に発表した390億ドルでのT-Mobileの買収に、米政府から待ったがかかった。米司法省は、この買収が実現すればAT&Tの携帯キャリアとしての首位は確実になり、同市場での健全な競争が失われると主張する。

» 2011年09月01日 08時02分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米司法省は8月31日(現地時間)、米大手通信キャリアのAT&Tによる同業のT-Mobile USAの買収は独禁法に違反するとし、差し止めを求めて提訴した。AT&Tは携帯キャリアとしては米Verizon Wirelessと首位を争っており(加入者数ベース)、T-Mobileは4位。買収が実現すれば首位を確立できる見込みだ。

 AT&Tは3月20日、独Deutsche Telekom傘下のT-Mobile USAを390億ドルで買収すると発表した。発表の際、この買収はFCC(米連邦通信委員会)およびオバマ米大統領が目標に掲げている「全米の隅々までをデジタル時代に接続する」という取り組みを支援することにもなると説明している。また、全米の20の地域市場のうち18市場で5社以上の通信業者がサービスを提供しており、健全な競争が行われていると主張した。

 司法省は、米国の消費者は、大手4社(AT&T、Verizon、Sprint、T-Mobile)の競争による便益を享受しており、こうした便益を守るのが今回の訴訟の狙いだと説明する。

 AT&Tは同日、この訴訟に関する声明文を発表した。「司法省の提訴に驚き、失望している」とし、全米消費者の約97%にLTEサービスを提供できるようになるなどの買収によって米国の消費者が享受できるようになる便益を列挙し、法廷で争う姿勢を示した。

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