【第4回】IT導入でやるべきことまるごと! 中堅・中小企業とIT経営(2/3 ページ)

» 2011年09月27日 08時00分 公開
[春日丈実,三菱UFJリサーチ&コンサルティング]

事例2:専門学校法人(売上高20億円、職員40人)

 5年ほど前から学生管理システムを使っていたが、汎用的なパッケージソフトウェアではなく、市販DB(データベース)ソフトで作ってもらったソフトウェアであり、機能アップすることなく使っていた。

 学校では新しい授業コースを新設、クラスの増減、毎年の入学候補の学生、卒業する学生、就職先の管理など、メンテナンス業務が増えてきており、現状のシステムでは対応が難しくなってきた。そこで機能アップをお願いしたら、想定より高額なシステム開発費を提示されたので、新規開発を前提にプロジェクトをスタートすることになった。開発予算は1500万円を想定。

 学校法人内で組成したプロジェクトチームにより、仕様書を作成してシステム会社から提案を受けて決定した。複数同時に提案をもらう形はとらず、まずは学校法人内で2社に提案をしてもらったところ、3000万円〜4000万円程度になったため、クラウド(ASP)サービスで実現できるかを再検討して1社から提案をしてもらった。

 プロジェクトチームとシステム会社で要件定義(1カ月間)を実施して、システム開発は約2カ月間でプロジェクトを進めた。クラウドサービスの基本機能をベースとしつつも、帳票類について、特殊なもの(成績証明書など)はアドオンで開発を実施した。

 現在の学生管理システムのマスタ設定が整合取れていない部分があり(数字のところを全角入力、就職先マスタを使わず、略称入力など)データの移行が大変だったが、新年度は新しいシステムで学生管理を行えた。

成功要因

 当初、学校のプロジェクト担当者は、システム会社に依頼してシステム開発してもらうことを考えていたが、発想を変えてクラウドサービスを活用することで本システムを構築できた。こうした新しいサービスを使うことができるかを検討したことが大きな要因である。結果的に開発期間や費用を当初の予定通りに遂行できた。クラウドサービスを活用したITサービスの導入に関して経済産業省や総務省も導入支援の施策を実施している。

 プロジェクトメンバー(システムを実際に使用する担当者とシステム開発をするシステム会社の担当者)に対しては、いつまでにこれをやってほしいということをお願いし、プロジェクト管理を回すことで進ちょく管理を行った。スケジュールが遅れる部分もあったが、どこが遅れているのか、どちら(学校側かシステム会社側か)がボールを持っているのかを明確にすることで確認漏れをなくすようにした。

 他に、システム開発の成功事例としては、ITコーディネータ協会のWebサイトにも事例カテゴリ別(売上拡大・新規開拓、商品力・サービス力、工期短縮・スピード経営など)、業種別(製造業、流通・卸売・小売業など)、事業規模別(20人未満、20人以上100人未満など)に掲載されているので参考にしてもらいたい。

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