ビッグデータ時代に向けた“完全なる”ソリューションに強み、IBMの事業戦略

日本IBMは「インフォメーション・マネジメント」分野に関する2012年の事業戦略を説明。企業のビッグデータ活用を支援する施策を展開する。

» 2012年02月06日 16時14分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本IBMは2月6日、「インフォメーション・マネジメント」事業に関する2012年の事業戦略説明会を開催した。企業でのビッグデータ(多種類・大容量のデータ)活用を支援する包括的なソリューションの提供に注力すると表明した。

ヴィヴェク・マハジャン氏

 説明会の冒頭、ソフトウェア事業を担当する常務執行役員のヴィヴェク・マハジャン氏は、「企業の競争力強化にビッグデータの活用が不可欠になっている」と述べ、2012年のインフォメーション・マネジメント事業ではビッグデータ分野における取り組みを強化する考えを表明した。

 既にビッグデータに関する案件を専任で担当する組織を設立。同組織にはコンサルタントや技術者も参加させ、ビッグデータ活用を検討する顧客企業に対して、1つのチームで対応できるようにした。業種・業界ごとにビッグデータ活用の支援に当たるコンサルティング部門も設置し、パートナー企業を支援する部門では体制を増強させるとしている。

 「データを集めて蓄積し、分析を行い、管理するという全ての領域を網羅しているのがIBMのソリューションの強み。ビッグデータをリアルタイムに分析して迅速な意思決定を行うだけでなく、過去からのデータも含めて“深い”分析と洞察、精度の高い予測を可能にしていく」(マハジャン氏)という。

塚本眞一氏

 また、理事 インフォメーション・マネジメント事業部長の塚本眞一氏は、1月に日本ネティーザの事業を日本IBMに完全統合したことを報告。データウェアハウス(DWH)の「Netezza」、情報分析の「InfoSphere」、データベースの「DB2」といった製品群を組み合わせ、網羅性に優れた情報活用ソリューションの提供に注力するという。さらに顧客企業の事例も交えて、「既に実際のデータでソリューションを実際に活用している」と実績も披露した。

 例えば、カブドットコム証券では「ソーシャルメディア・センサー」という株価予想情報を投資家に配信するサービスを、IBMのHadoopディストリビューション製品の「InfoSphere BigInsights」やテキスト分析の「IBM Content Analytics」などで構築。1カ月当たり約2億件のTwitterのツイートを蓄積し、4万種以上のキーワードについて「ポジティブ」や「ネガティブ」といったソーシャルメディアでの評価傾向をリアルタイムに分析している。

 ドイツのフランクフルト空港ではSAPアプリケーションに関わるデータベースをOracleからDB2に移行したことで、全体コストを45%削減し、データベースのパフォーマンスを平均10%向上させたという。「データベースに求められる信頼性や拡張性の点では十分な実績があり、競合製品よりも高速化や最適化、サービスレベルの向上、コスト削減などの点で優れるとして、DB2に移行する企業は少なくない」(塚本氏)と、既存のデータベース市場においてはOracle Databaseに対抗していく方針を示した。

インフォメーション・マネジメント分野における重点製品

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