日本IBM、システム開発テストを自動化するRationalの新ソリューション発表

期間短縮やコスト削減を図れるよう、仮想環境でシステム間接続テストを自動的に実施できる製品群を提供する。

» 2012年06月21日 16時22分 公開
[ITmedia]

 日本IBMは6月21日、3つのソフトウェア製品で構成される「IBM Rational テスト仮想化/自動化ソリューション」を発表した。複数システム間の接続テストを実施する仮想環境をコンピュータ上に自動的に構築することで、品質保持や期間短縮、コスト削減を可能にするという。

 同ソリューションは、米IBMが1月に買収したGreen Hatの製品をRationalとして提供する。対象システムと仮想的な接続環境を構築する「Rational Performance Test Server」、テストで接続する先のシステム環境を仮想的に構築する「Rational Test Virtualization Server」、テスト用データを管理するための「Rational Test Workbench」の各ソフトウェア製品で構成される。ソリューションとしての販売価格は4000万円から(ソフトウェア単体でも販売)。

テスト仮想化/自動化ソリューションのイメージ

 一般的にこうしたテストでは接続先システムの稼働スケジュールとの調整や、接続先が多数の場合に工程や内容が複雑になるほか、テスト環境の構築コストも大きなものとなる。テストで重大なバグが見つかると、その修正作業や再テストの実施までに長い時間と多額の追加コストが発生することが問題となっている。テスト仮想化/自動化ソリューションはこの課題を解決するものだという。

 ラショナル事業部長の渡辺公成氏は、「新規開発のシステムでは複数の外部システムとの接続が当たり前になる中で、いざテストをしようとしても大型連休など限られたタイミングにしかできない。そこで問題が出れば、開発期間がさらに伸びて莫大なコストが発生する」と話す。企業のビジネスのスピードが増す昨今では、こうした点が事業にとって致命的になりかねないリスクになっている。

理事 ソフトウェア事業 ラショナル事業部長の渡辺公成氏

 ソリューションと併せて同社は、ソフトウェア新製品「IBM SmartCloud Continuous Delivery」のβ版や、開発アプリケーションのライフサイクル管理を行う「Collaborative Lifecycle Management」ソリューションの新版も発表した。

 IBM SmartCloud Continuous Deliveryは、開発アプリケーションの運用環境情報とRationalに反映することができるもの。開発から運用まで一貫性を確保することでアプリケーション開発コストの抑制や、リリースまでの期間短縮を図れるという。Collaborative Lifecycle Managementでは複数のプロジェクト間やプロジェクト内のチーム間でのデータ連携を共有できるようにして、開発プロセスの効率化を図る。

 「品質を維持しながらデリバリーを早めることが非常に重要。これには発注側と開発側の相互理解や積極的なアジャイル手法の活用がカギを握るとみており、今後のRational製品ではこれらを追求していく」と渡辺氏は述べた。

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