こうした状況を知らない圧倒的多数のユーザーは、Androidのウイルス対策アプリをPCのウイルス対策ソフトと同じように考えてしまう。「ウイルス対策アプリをインストールしたから、危険なマーケットプレイスにいっても安心だ。正規の有料版も無料でゲットできるから、早くアクセス!」と考える輩は必ず現れるだろう。
だが正規以外のマーケットプレイスは危険なところが多く、ここを訪れてしまうと十中八、九、マルウェアに感染してしまう。当然ながら、ウイルス対策アプリの効果はほとんど無い。そのことに気が付くユーザーもほとんどいない。
筆者がここで伝えたいこととは、「一番効果的な行為はウイルス対策アプリをインストールすることではなく、危険なサイトに近づかない」ということである。
それでは冒頭で挙げた官房長官の談話は、どういう内容なら良いのか。その正解例は次のようになる。
一部の中国系マーケットではアプリのほとんどにマルウェアが含まれているようなので、こうした悪質サイトには絶対に近づかないでいただきたい。マルウェアに感染するのは、正規のマーケットで正規版を購入せず、悪質サイトで海賊版を手に入れようとするケースが多い。ユーザーの“不心得”からそういうハメに陥るのであり、自業自得、同情するに値しないという厳しい言葉もちらほら聞こえてくる。善良なユーザーは自ら注意して悪質なサイトから身を守ってほしい。
最後にメーカーやキャリアも真剣にこうした状況を改善しようとしている。つまり、一般権限ではない領域で実行できるウイルス対策アプリが開発、提供されるのも時間の問題だろうと筆者は期待している。ぜひそうなってほしいのである。
日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、一般社団法人「情報セキュリティ相談センター」事務局長、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、ネット情報セキュリティ研究会相談役、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格した実績も持つ。
情報セキュリティに関する講演や執筆を精力的にこなし、一般企業へも顧問やコンサルタント(システムエンジニアおよび情報セキュリティ一般など多岐に渡る実践的指導で有名)として活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。
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