最初のプロセス「計測」は消費電力の把握だ。実証実験では豊中教育研究棟の各フロアにある主分電盤に、エコパワーメータや多回路エネルギーモニターを取り付け、計測したデータをLAN経由でデータベースに蓄積する。計測ポイントは全部で90カ所。計測範囲はフロアごとに異なるが、学生の情報教育や語学教育の教室があるフロアでは概ね教室単位でデータを収集できるよう3〜4カ所、電力消費量の多いマシンルームがあるフロアは17カ所、竹村教授の研究室などがある5階には最多の45カ所、その他の研究室がある6、7階には4〜5カ所ある。
計測は10分ごとに行われ、1日当たりの計測データは約13万件になる。実証実験は2010年12月に始まり、現在まで数千万件のデータを蓄積している。
「分析(見える化)」のプロセスでは、この蓄積したデータを竹村教授や研究室のメンバーが分析し、グラフを使って時間帯別、日時、月次、年次、フロア別、研究室別、照明器具や空調など主要機器別といったいろいろな指標で使用電力量を比較できるようにした。
現在は「共有(見せる化)」のプロセスをほぼ終えたところ。使用電力量や比較結果などのグラフに、節電のワンポイントアドバイスやメッセージ、クイズといったコンテンツを組み合わせて、CMC内のポータルサイトと豊中教育研究棟内に設置したデジタルサイネージに情報を配信している。研究室に所属する学生がWindowsガジェットも作成し、PCのデスクトップ上で電力の最新の使用状況いつでも確認できるようにした。
節電情報の提供は、「プル型(ポータルサイト)」と「プッシュ型(デジタルサイネージやデスクトップガジェット)」とに分けて行うことで、CMCを利用する人々の節電意識にどう影響するかを調べる。プル型は詳しい情報を提供できるが、利用者にアクセスしてもらう必要がある。プッシュ型は利用者にアクセスしてもらうという手間が無い半面、提供できる情報が限られたり、シーンによっては利用者の作業を妨げてしまったりする点が課題。
「プッシュ型の取り組みで一定時間ごとにメールを配信することも試みましたが、あまりに大量のメールが届いてほかの作業ができなくなってしまい、仕方なく断念しました」(間下氏)と、苦労した点も少なくなかったようだ。
竹村教授の研究室では昨年と今年に、CMCの利用者へこうした情報提供手段の利用状況や節電に対する意識についてアンケート調査を行った。
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