「Dellは変化の真っただ中にいる」――プレジデント兼最高商務責任者のフェリス氏に聞くトップインタビュー(1/3 ページ)

PCメーカーからソリューションプロバイダーとしての立場を固めつつあるDell。同社プレジデント兼最高商務責任者のスティーブ・フェリス氏とデル社長の郡信一郎氏に法人ビジネスへの取り組みを聞いた。

» 2012年09月03日 17時20分 公開
[聞き手:國谷武史,ITmedia]

 Dellは、近年の法人ビジネスにおいてハードウェアベンダーからソリューションベンダーへの転換を推し進める。法人ビジネスの現状や今後の方針について、米Dellプレジデント兼最高商務責任者のスティーブ・フェリス氏とデル代表取締役社長の郡信一郎氏に聞いた。

―― フェリス氏は以前に日本・アジア太平洋地区の事業責任者を務めていましたが、当時と現在を比べて日本市場に対する印象は変わりましたか。

米Dell プレジデント兼最高商務責任者のスティーブ・フェリス氏

フェリス 今回の来日で多くの顧客企業を訪問していますが、テクノロジーの観点では大きな転換時期を迎えているという印象を受けました。かつての日本市場は、世界に比べてもメインフレームやプロプライエタリなシステムが多数存在していました。当時、企業がオープンシステムに移行するのはまだ先だろうと思っていましたが、今の企業はオープンスタンダードな技術に基づくメリットを享受したいと考えています。

 このことは当社にとっても非常に良いことです。当社のデータセンターに関する戦略は、オープンスタンダードな技術を採用したシステムへの移行を推進するというものであり、企業顧客のこうした動きは追い風になっています。

 金融や製造分野の最大手の顧客からこうした希望や期待の声を聞いています、日本企業はますます海外市場への進出や海外企業との競争を意識していますので、特にITについてはレガシーなシステムを競争力のあるものに変革したいと望んでいます。

―― 2013会計年度の第2四半期決算は減収になりました。主にコンシューマー向けのPC販売の低迷が原因ですが、法人ビジネスは堅調だったとしています。

フェリス SMB(従業員500人未満の企業)向けビジネスは、市場全体としては厳しい状況でしたが、当社はサーバ、ストレージ、ネットワーク製品を中心に好調な売上を達成でき、利益面でも結果を出すことができました。ラージエンタープライズ(同500人以上の企業)向けでも売上、シェアとも伸張できたと考えています。特にサーバは2けた台の成長を達成しました。一方、公共向けは法人ビジネスの中では一番厳しい結果になりました。世界的に経済が厳しい情勢にあって公共分野ではIT予算の削減が行われています。こうした状況ですが、当社としては競争力を維持できていると考えます。

―― SMBやラージエンタープライズのビジネスが堅調だったのは、主にどのような理由からでしょうか。

フェリス 当社の戦略が非常に機能しているということに尽きるでしょう。今日のような経済情勢では顧客はコストを下げたいが、同時にスケーラブルに成長したいと考えています。そこに当社の技術が合致したのだと思います。

 例えば 当社で12世代目となるPowerEdgeサーバは、競合製品に比べて性能面や消費電力、高密度化といった点で非常に優れていると思いますし、売上も非常に良い結果が出ています。また、iSCSIストレージ市場を牽引するEqualLogicは、システムに拡張性を求める中堅から大規模の企業顧客のニーズに応える製品として実績を出しています。

 サービスビジネスも伸びており、製品や技術にサービスを組み合わせて提供するようになったことで、Dellは顧客にとって信頼のおけるITアドバイザーとしての立場を確立できました。顧客は当社にトータルソリューションの提供を要望しています。

 これまでは「何色のPCを何台買いたい」「ストレージが何台ほしい」というものでしたが、今では「増えるばかりのデータを効率的に管理できる方法を具体的に提案してほしい」と相談を持ちかけてきます。こうした変化はごく一例ですが、顧客は当社にソリューションを求めているのだと実感します。

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