「Dellは変化の真っただ中にいる」――プレジデント兼最高商務責任者のフェリス氏に聞くトップインタビュー(2/3 ページ)

» 2012年09月03日 17時20分 公開
[聞き手:國谷武史,ITmedia]

―― 大手ITベンダーの多くがインフラからサービスまでを束ねた垂直統合型のビジネスモデルを推進しています。Dellはこうした動きに対してどういった特色を打ち出していく考えですか。

フェリス 当社には「インフラはアーキテクチャとして提供されるべき」との理念があり、これが一番の差別化になると考えています。競合他社の垂直統合型ビジネスとは、つまりは、自社の製品、プロプライエタリな技術の世界に顧客を囲い込もうとするものです。

 技術の潮流はオープンスタンダードに向かっており、成熟化も進んでいます。企業がシステムに求めるのは、ビジネスの変化に対応していける柔軟性。オープンスタンダードな技術は十分通用するものになっています。デルは柔軟性の高いデータセンターの構築に必要なオープンスタンダードベースの多種多用な技術や製品を提供しているので、企業顧客は昔ながらのものに固執する必要はないでしょう。当社は顧客が長い年月を費やして構築した既存の環境とも親和性の高いソリューションを提供することに注力しています。顧客の今までの投資が無駄になることなく、性能面では妥協しないシステムを提供できる点が強みになります。

―― DellもITインフラに近い領域の企業を積極的に買収していますが、その点では垂直統合型のソリューションを目指しているようにもみえます。

フェリス 例えば、KACE(システムの管理・導入ソリューション)はWindowsやiOS、Linuxといったさまざまな環境をサポートしており、オープンスタンダードなシステム環境を実現できます。SonicWALLはさまざまなセキュリティ製品との互換性に優れ、EqualLogicも幾つものOSをサポートしています。それぞれのポートフォリオ、特にソフトウェアなどはDellの資産かもしれませんが、それぞれはオープンスタンダードな世界をサポートするものになります。

―― つまり、OSより上の領域はオープンスタンダードにしていくということですか。

フェリス その通りです。これは非常に重要なことで、競合他社のアプローチは「古いものを全部捨てて、うちに乗り換えてほしい」というもの。Dellは顧客が思い描いている形に移行できるよう支援するという方針なので、顧客が「これを残したい」と希望すれば、それを取り込めるソリューションを提供します。

 当社が志向する技術とは、ユーザーにとって使いやすく、導入も管理も簡単なものです。ITベンダーの中には、時に大規模企業の顧客へ向けたビジネスにばかり注力するところがあります。しかし、世界中のIT予算の大部分を占めるのは中堅規模の企業であり、ITスタッフがたくさんいるわけでもなく、CIOがいないことさえあります。こうした企業は導入や運用管理が簡単で使いやすいものを求めています。当社がこれまで買収した企業の技術に共通しているのは、簡単で使いやすい点。導入や運用のために大人数のコンサルタントやITスタッフがいらないということです。

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