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» 2012年09月03日 17時20分 公開

トップインタビュー:「Dellは変化の真っただ中にいる」――プレジデント兼最高商務責任者のフェリス氏に聞く (3/3)

[聞き手:國谷武史,ITmedia]
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―― Dellといえば直販のイメージが強くあります。ソリューションビジネスを推進するとなれば、コンサルティングなどの提供体制も必要になるのではないでしょうか。

フェリス 競合他社にない強みが顧客とのダイレクトな関係であり、元々はPC販売から始まったスタイルですが、今ではあらゆる規模の顧客企業と直接的に会話できる関係を構築しています。悩みごとやニーズを相手から直接聞くことで理解できるわけです。

 顧客の課題解決にあたる数千人規模の専門家チームも立ち上げました。ネットワークやストレージ、セキュリティ、クラウドといった領域の専門家ばかりで、顧客の課題やニーズに対して解決にあたります。また社内認定制度も設けて、営業担当者が教育を通じてデルのソリューションを顧客に提案できるようにもしました。当社の技術を検証できるソリューションセンターも世界中に展開しています。ソリューションビジネスに対しては大規模な投資を行い、強化しました。

 国内の顧客からはよく、「デルはコンサルタントやエンジニアの数が他社よりも少ないのではないか」という意見を伺います。確かに競合他社は何千人という単位のエンジニアを抱えています。しかし、当社のエンジニアリング部門はIT業界で豊富な経験とノウハウを持つ人材がそろっています。規模は他社に比べると何分の一かもしれませんが、デルが顧客に対してやりたいことなのです。

 と言うのもの、企業のIT予算の実に7割から8割が運用や維持に当てられているという実態があります。よく導入コストを抑えたいという声は聞かれますが、実際は導入コスト以上に運用や維持にお金がかかっています。それは運用や維持にお金がかかるシステムを導入してしまったからであり、複雑なシステムでなければ、そういうことにはなりません。われわれは複雑では無いシステムをどう提供できるかに注力しており、そういったシステムであれば、少ない人数でできるはずです。当社がソリューションプロジェクトを実行する前は顧客と密接に話をして、「なぜこのシステムを導入したいのか、そのためには何が必要なのか」を理解した上でソリューションを提案します。エンジニアの数が少ないことで顧客に迷惑をかけるとは考えていません。この点も競合との差別化につながると考えています。

「エンタープライズビジネスで変革に真っただ中にある」と話すフェリス氏と郡信一郎 デル代表取締役社長(右)

―― パートナーとの関係についてはいかがですか。

 デルとしては3年ほど前に、当時の戦略変更の中でチャネル販売をしっかりやっていくと表明しています。近年に買収した企業の中にはチャネル販売だけというところもあるので、それまでの関係をデルになってもしっかり継続していく方針です。顧客企業が弊社の提案するソリューションを希望する時は弊社が直接的に提案しますし、顧客がシステムインテグレーターを希望すればそうした形でサポートしています。

 競合他社は垂直統合型のビジネスモデルで成長を志向していますが、Dellはインフラ領域にフォーカスすることでどの程度の成長を見込んでいるのですか。

フェリス 競合他社が垂直統合型のビジネスに注力するのは、それによって利益を出す構造を作ってしまっているからで、プロプライエタリな構造を守っていかなければならないとからだと思います。Dellはレガシーなことには捉われていませんし、レガシーなシステムもありません。

 むしろレガシーに捉われることは間違いであり、テクノロジーが本来向かうべきところに行かないでレガシーなところにとどまり続けるのは誤りだと考えます。テクノロジーにはいろいろな分野があり、それほど成長の余地がないとみるのは間違いでしょう。それぞれの領域は常に進化し、しかも非常に速いペースで変化しています。例えば、顧客は自社のビジネスを拡大させるためにビッグデータのような技術を取り込んで、活用していく。そうすることで、自社の顧客に新たな貢献をしたり厳しい経済情勢の中から成長の余地を発見したりできるでしょう。

 今回の来日で訪問したある企業は、「クラウドを活用したいが、今までのレガシーなアプリケーションをどうクラウド環境に展開すればいいか分からない」と悩んでいました。競合他社は、このような企業の悩みごとを解決してしまうと、それまでの収益源だったソフトウェアのライセンスや売れるはずのハードウェアが減ってしまうので、積極的にやりたがりません。当社ではレガシーアプリケーションを新しい環境に展開するためのソフトウェア技術を持つ企業を買収しており、こういったニーズに対処していくことができるようになっています。

―― デルのソフトウェアソリューションというと、まだユーザー企業にはあまりなじみがないようですが。

フェリス 確かにこの分野に参入したばかりなので、まずはじっくり腰を据えて取り組みたいと考えています。当社のソフトウェアビジネスが市場できちんと評価されるには、数年かかるでしょう。それを理解した上で戦略を実行しているところです。しかしソフトウェア資産は、買収などを通じて既に医療やシステム管理、セキュリティといった分野を中心にそろいつつあります。

 現在はQuest Softwareとの買収交渉を進めていて、これが完了すれば、より多くのソフトウェア資産がDellに統合されることになるでしょう。ソフトウェアビジネスについては、この先向5年ほどの間は積極的な投資を継続して、強化する方針です。

―― この秋にはWindows 8が一般向けにリリースされますが、Dellのビジネスにおける期待はいかがでしょうか。

フェリス タッチ操作を意識したOSということで、非常に期待しています。特にタブレット端末に大きなメリットをもたらすものでしょう。今あるタブレット端末はコンシューマーユースに主眼が置かれた製品ばかりで、法人ニーズを満たし切れていません。Windows 8のリリースに合わせて、ユーザーが家庭でもオフィスでも利用できる革新的な製品を投入したいと考えています。オフィスでの利用にセキュリティ対策はもちろん、デバイス管理までを含めたソリューションを展開する計画です。

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