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» 2012年09月14日 17時00分 公開

人生はサーフィンのように:動かぬ彼を動かすには (3/3)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),ITmedia]
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あるボランティア組織での例

 ある地域のボランティア組織のお話をしましょう。その地域は過疎化が進行しており、若い世代の活動への参加が大きな課題となっていました。地域を活性化したい、けれども若い世代はなかなか参加してくれないので、これまで組織を作ってこられた方の中に「最近の若い者は……」「私たちはこんなにがんばっているのに……」という不平不満が充満していました。

 私は、地域が抱える課題をどうしたら解決できるかを話し合う場のファシリテーターとして招かれました。

 さまざまな方が不満を抱えていらしたので、私はこう問いかけました。「まず、不満を全部出し切りましょう」。すると出るわ出るわ、さまざまな不満が。

 すべてが出きったところで、次にこう問いかけました、「地域が活性化すると、みなさんが得られることは何ですか?」「どうハッピーになれるのですか?」……すると、「地域にはさまざまな資源がある。それが生かせたらうれしい」「なるほど、さまざまな資源があるのですね。それを生かせたらどのような良いことが?」「資源を生かすことをきっかけに、地域住民が集まったらいいな」……そのように繰り返して問いかけていったら、「人のつながりを強くし、地域を次世代に残していくこと」という気付いていなかった本当の目的が見え、言語化できたのです。

 「なるほど、皆さんは人のつながりを強くして、地域を次世代に残していきたいのですね」と確認したとき、参加者が一斉にうなずき顔つきが変わったのを、今でも忘れることができません。

 真の目的が見えると、手段を考えるのも活性化します、「そういえば、今まで若い世代に一方的に求めていたな。こちらの働き掛けも重要だな」「今度、○○のイベントをやりましょう」――その後、ボランティア組織が動き出したのは言うまでもありません。


 目的が重要なことぐらい、みんな分かっています。けれども今までは「私たちにとって本当に大切なこと」を論理的に組み立てる方法がありませんでした。「みんなで目的を考えよう」と直接的に言ってもなかなか意見は出ませんし、ブレーンストーミングをして意見をカードに書いて、グループにまとめても、目的のレベルが違っていたりして皆で共有するのは難しいことでした。

 けれども「それによって、何が得られるのか」を繰り返し考えるのは、比較的簡単なステップで、自分やチームにとっての「本当に大切なもの」が見えてきます。そして、共通の目的(それはおそらく、「幸せ」「楽しさ」「愛」「人生」などのような抽象的な言葉になるでしょう)が見い出せれば、「そうだ、私たちはこのためにこのプロジェクトをやっているんだ!」という信念や価値観を共有でき、内的衝動を起こすきっかけになるでしょう。

 「やらなければならない」ことを動かすのは言うほど簡単ではないことは、私にもよく分かっています。私も「あ〜、やりたくないな〜」「でも、やらなければならないんだよな〜」ということがたくさんあります。「やらなければならない」ことは誰もがやりたくないし、できれば避けて通りたいのです。

 私は、行動の本質とは「やらなければならない」というところにはなく、「やりたい」というところにあるのではないかと思います。「やらなければならないことを」を、いかに「やらなきゃ」→「やりたい」→「やろう」に変えていくか……それに役立つのが内的衝動です。あなた自身が、そしてあなたのチームが「本当に大切なこと」に目覚め、小さな行動を始められることを願ってやみません。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

NPO法人しごとのみらい理事長

1971年生まれ。自動車メーカー、ソフトウエア開発会社を経て、現職。プレッシャーの多い職場で自身が精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。コーチングや心理学の手法を実践しチーム変革に成功。難しいコミュニケーションスキルを誰もが使えるようにした「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。思考法やコミュニケーションをテーマとした研修・セミナー・講演・執筆活動を行う。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。

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