VMware vSphereとの連携で大規模な仮想化プラットフォームを実現PureSystemsが導く最適解

システムプラットフォームの観点から見た「IBM PureSystems」は、仮想化を強く意識した製品だ。その仮想環境における自動化・自律化を実現するために、PureSystemsではVMware vSphereの多くの機能が有効活用できる。

» 2012年10月22日 10時00分 公開
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VMware vSphereにとって最適な稼働環境

 IBMの新たなコンピューティングシステム「IBM PureSystems」は、同社の知見をシステムプラットフォームに取り入れたものだが、ハードウェアからアプリケーションまで、すべてがIBMだけで閉じた世界というわけではない。業界標準のさまざまな技術も取り入れられており、その一例として挙げられるのが、サーバ仮想化を実現するハイパーバイザーとして「PureFlex System」「PureApplication System」両ラインナップで活用される「VMware vSphere 5」とその管理機能だ。

ヴイエムウェア シニア プロダクト マーケティング マネージャの桂島航氏

 vSphere 5は、クラウドインフラ構築に最適な業界をリードする仮想化プラットフォーム。とりわけ全社システムの統合など、大規模な仮想化基盤を構築する場合のプラットフォームとして位置付けられている。

 「これまでは、元々存在していたアプリケーション基盤をそのまま仮想化することが一般的でした。しかし、そうしたシステムは結果的に仮想化基盤が組織単位に分かれて存在することになり、仮想化の本当の良さが生かしにくいところがありました。その点、IBM PureSystemsは全社統合の大規模な仮想化基盤であり、VMware vSphereの最適な稼働プラットフォームになり得ると考えています」(ヴイエムウェア シニア プロダクト マーケティング マネージャ 桂島航氏)

 部門単位の物理ホストを仮想化統合する流れから、全社共通の標準化されたインフラをプール化していこうという流れへ移り変わりつつあることは、多くの企業が十分理解しているという。しかし、それを実装していくには、解決しなければならないボトルネックが数多くある。「PureSystemsとVMware vSphereが持つさまざまな自動化・自律化のテクノロジーは、そうしたボトルネックを解消するものです」と、日本IBM システム製品事業 システムx事業部 事業戦略担当部長 コンサルティングITスペシャリスト 東根作成英氏は強調する。

自動化された分散管理を実現

 IBM PureSystemsとVMware vSphereでは、CPUやメモリなどの物理リソースをクラスタ化されたリソースプールとして扱う。つまり、複数のコンピュータ(PureSystemsではブレードサーバ Flex Systemやストレージ Storwize V7000)をひとまとめにして、それを巨大なコンピュータリソースとして扱うわけだ。

 そのリソースプールの中から、仮想マシンや子リソースプールにリソースを配分することになるわけだが、クラスタ化するには自動化された分散管理が必須となる。それを実現するのが「VMware vSphere DRS(Distributed Resource Scheduler)」と呼ばれる機能だ。

日本IBM システム製品事業 システムx事業部 事業戦略担当部長 コンサルティングITスペシャリストの東根作成英氏

 自動化された分散管理を実現するために、VMware vSphereにはホストのリソース状況に応じて、自動的にvMotionによる仮想マシンの移行を行い、処理の負荷分散を図るDRSが実装されている。例えば、仮想マシンの1台が重い処理を実行し、ESXi ホスト(VMware vSphereのハイパーバイザーであるvSphere ESXiを実装したサーバ)全体の負荷を上げてしまうと、ほかの仮想マシンへ負荷が影響して業務に支障が出る恐れがある。DRSは、こうした高負荷状態が発生した仮想マシンをほかのESXi ホストに移動し、自動的に負荷分散を実施する。

 DRSは、コスト削減のポイントとなる統合率の向上にも有効だ。リソースがプール化されていない場合、リソース不足をある程度の余裕を見た上での統合になりがちだ。しかし、リソースをプール化してDRSを利用すれば、負荷とリソースを最適化できるようになる。実際にDRSを利用している企業への調査では、40〜60%もの統合率の向上が見込めるという。

 とは言え、国内では、DRSを利用する企業が他国と比較し少ないのが現状だ。

 「日本では、どの物理サーバでどのアプリケーションが稼働しているのかを管理したいというニーズがあります。しかし、それにとらわれ過ぎると、リソースを有効活用することは困難です。アプリケーションがどこで稼働しているかといった管理方法に縛られるのではなく、PureSystemsの価値と合わせ、DRS利用によるメリットをご一考いただきたいと考えています」(桂島氏)

vSphere DRSのメリット

SLAを担保するI/Oコントロール機能

 もう1つ、大規模な仮想化環境で有効なVMware vSphereの機能に「Network I/O Control」「Storage I/O Control」というものがある。これは、SLA(Service Level Agreement)に応じて性能を保証する機能だ。

 システムを仮想化基盤上に構築する際、1つの仮想マシンがリソースを占有してしまわないかという懸念がついて回る。例えば、企業が提供するEコマースサイトやメールなど重要度が高いアプリケーションが実行しているのに、データマイニングのようなリアルタイム性が求められないアプリケーションがストレージやネットワークのI/Oを占有してしまい、即時性が求められるシステムのパフォーマンスに影響を及ぼしてしまうのではないだろうかという不安だ。

 従来のシステムであれば、それぞれ異なるハードウェアで稼働しているため、それほど問題視されないことだった。しかし、全社統合のリソースプールを利用する仮想化基盤に統合すると、こうした懸念が出てくることになる。

 「I/O Controlは、そうした課題に対するVMwareの回答です。各仮想マシンまたは仮想マシンのグループ単位で、どれだけのシェア値でI/Oリソースを利用できるか設定することが可能です。例えば、重要度が高いアプリケーションに50、重要度が低いアプリケーションに25と設定すると、2:1の割合でI/Oリソースが使われるようになります。ただし、リソースに余裕がある場合は特に制限なく利用可能になっており、I/Oリソースが不足してきたときにシェア値に基づいた制御が行われます」(桂島氏)

 Network I/O Controlの前提となるのが、「vDS(vSphere Distributed Switch)」だ。これは、複数のESXiホストにまたがって機能する仮想スイッチを設定できるもの。vMotionによって仮想マシンが異なるESXiホストに移動したとしても、ネットワークの設定は従来のまま利用できるというものだ。これにより、ネットワークの管理性は飛躍的に向上する。

 「PureSystemsでご利用いただける、IBM System Networking Distributed Virtual Switch 5000V(DVS5000V)という分散仮想スイッチ製品を用意しています。vDSの基本的なメリットに加え、IEEE 802.2Qbgで定義されたEdge Virtual Bridging (EVB)をサポートすることでvMotionに追従したポート属性の自働マイグレーションが可能になります。vDSというテクノロジーは、PureSystemsと密接な関係にあるのです」(東根作氏)

展開やストレージ管理も自動化

 自動化・自律化を進める機能としては、「VMware vSphere Auto Deploy」も重要な役割を果たす。これは、ESXiのホスト用起動イメージを作成し、複数のホストに同時に展開するとともに、新しいホストの構成にはホストプロファイルを適用するという機能だ。

 新しいESXi ホストを展開する際、従来は手動で実施するか、個別にスクリプトを作成して対応してきた。この機能を使い、新しい物理サーバを追加してネットワークブートすれば、自動的にイメージをダウンロードしてインストールされ、クラスタに組み込まれる。ワンタッチで仮想化基盤を拡張できるというものだ。

 「現在のPureSystemsは、デフォルトではUSBメモリをESXi ホストのブートドライブとしています。従って、Auto Deployの機能とPureSystemsは直接的なリレーションはありませんが、リソースの追加について自動化をさらに進めたいという場合には、Auto Deployも選択肢となります」(東根作氏)

 このほか、パフォーマンス特性などのプロファイルに基づいたストレージの初期配置の自動選定、I/Oに基づいたロードバランシングなどの機能を提供する「VMware vSphere Profile-Driven Storage」「VMware vSphere Storage DRS」というストレージ管理機能がある。これを利用すれば、ストレージのメンテナンスに必要な仮想マシンのダウンタイムを排除したり、ストレージの計画と構成にかかる時間を削減したり、ストレージの性能ボトルネックを自動的に取り除いたりといった効果が得られる。また、配置の最適化によってストレージ使用率を向上することも可能だ。

ネットワーク&ストレージのI/O制御

 さらに、「vCenter Site Recovery Manager (SRM)」を利用すると、シンプルで信頼性に優れたディザスタリカバリが実現できる。SRMは、災害発生時に迅速なフェイルオーバーを自動実行するほか、仮想マシンをシャットダウンして切り替えを行う計画的な移行にも対応している。また、災害復旧時のフェイルバックプロセスも自動化できる。リカバリプランの管理を簡素化できるのもSRMの特長で、ダウンタイムなしでディザスタリカバリのテストを実行できる。

 「PureFlex System」は、VMware以外のハイパーバイザーにも対応しており、ハードウェアと仮想化管理に「Flex System Manager」(FSM)を用いるが、VMware vSphere環境を利用する場合はvCenter Serverのセットアップが前提となる。これは、VMwareによるイノベーションをFSMにすべてIBMが再実装するより、vCenter Serverに実装されたものをAPIから活用するほうが、より柔軟にお客様に価値をお届けできるからだという。

 「PureFlex SystemではvCenter ServerのAPIを適切に利用し、FSMという管理ツールによって日常的な運用・管理業務をこなせるようにすると同時に、必要に応じてvSphere クライアントからvCenter Serverを使うという方法を採用しています。vSphereは、自動化・自律化を含めた先進的な機能を提供しており、それを活用することがPureSystemsをご利用いただくお客様に提供できる価値を最大化することにつながると考えます」(東根作氏)

 目指す方向性が同じPureSystemsとVMware vSphereは、相互に機能を補完し合って、大規模な仮想化環境を実現している。全社統合のシステムプラットフォームを構築する際、これらの組み合わせは、現時点における最善の選択肢と言えるだろう。

増え続ける仮想サーバと運用コスト。仮想環境の運用管理自動化は可能か?

ITに携わる全ての人にとっての課題である「運用管理コストの削減」。特に仮想化が一般化した今、企業のデータセンター環境は一層複雑化している。仮想環境の運用管理をもし自動化できれば、コストは劇的に削減できる。

その達成シナリオを動画で解説する≫


連載インデックス

第1回:「IBM PureSystems」に実装された“知見”とは

IBMは2012年4月、業界初の新しいコンピューティング・システム「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を発表した。その第1弾製品として投入されたのが、サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化、管理機能を統合した「IBM PureSystems」だ。

第2回:最先端のハードウェア技術を注ぎ込んだ「IBM Flex System」

新しいコンピューティングシステム「IBM PureSystems」を構成するハードウェアコンポーネントが「IBM Flex System」だ。新アーキテクチャのブレードサーバを中心とする新製品は、高性能かつ高信頼性を実現し、管理負荷を軽減する機能が満載だという。

第3回:「パターン」が支えるPureSystemsの運用管理

連載第1回で紹介した通り、IBM PureSystemsの特徴の1つが「パターン」だ。パターンとは、ITを容易かつ即座に利用するための知見を集約、応用したものであり、システム構築だけでなく運用管理の課題解決にも効果が期待できるという。


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年11月21日