第2回 メインフレーム譲りの包容力と仮想化のベストプラクティスが自慢のPureSystemsPureSystemsが生まれたワケ(1/3 ページ)

PureSystemsが生まれた背景を探る短期連載の第2回は、「Fabric-based Architecture」を採り入れ、zEnterprise譲りの包容力と仮想化環境のベストプラクティスが盛り込まれたIaaS基盤の「PureFlex System」を中心に見ていこう。

» 2012年12月25日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
シンガポールで発表されたPureSystems第2弾、PureData System

 「ユーザーがCPUの違い、例えば、ある処理がPower7で行われているのか、x86で行われているのかを果たして意識する必要があるだろうか?」── 今年10月、シンガポールの「InterConnect 2012」カンファレンスでIBM PureApplication Systemのチーフアーキテクト、ジェイソン・マギーDE(Distinguished Engineer)はそう話した。同社がPureSystemsファミリーの第2弾、PureData Systemを世界に向けて正式発表したときだった。

 その場ではピンと来なかった彼の言葉だったが、今振り返るとそれは、「ハイブリッド化」へと大きく舵を切ったzEnterpriseメインフレームや、今春、全く新しい製品として投入されたPureSystemsファミリーに共通して見られる思想のように感じられる。

 ライバルベンダーたちが自前のプロセッサを放棄する中も、IBMは複数のアーキテクチャーに多額の研究開発費を投じ、その将来も約束してきた。zEnterpriseのプロセッサでは、二重化された命令実行回路によってミッションクリティカルな業務に求められる高い信頼性を実現するとともに、さらにクロック周波数を高めてコア単体での性能向上も追求する。一方、RISCベースのPowerプロセッサではマルチコア化を進めており、最新のPower7+では最大クロック周波数が4.42GHz、コア数は8となっている。ビッグデータ活用やリアルタイム処理といった新しい「ワークロード」へのニーズが顕在化してくる一方、企業はその基幹業務を支えるミッションクリティカルな既存アプリケーションを膨大に抱えており、単一のアーキテクチャーでは期待に応えきれないからだ。

 日本IBMでPureSystemsソリューションを担当する緒方正暢部長は、「それぞれのワークロードには適したアーキテクチャーがあり、適材適所で異なるものを組み合わせていく必要がある」と話す。

 もちろん、こうした「適材適所」がデータセンターのサイロ化を招いたのも事実で、IBMは「仮想化技術」による資源のプール化と「Fabric-based Architecture」によるハイブリッド化に当面の解を求めたわけだ。

ユーザーの関心はCPUではなく「ロジック」

 前回の「恐竜の再発明? データセンターを丸ごと1つのコンピュータに集約するzEnterprise」で触れたとおり、z196以降のzEnterpriseメインフレームは、Fabric-based Architectureの概念の下、Power7プロセッサやx86プロセッサを搭載したブレードサーバも「1台の大きなコンピュータ」として集約できるように進化した。それは、「異質なものを異質なものとして感じさせずに使いこなせるようにする」(緒方氏)という考え方から生まれ、さらに磨きが掛けられている。収れんされた結果、今のところオープン系ならば、PowerやSPARCであったり、x86ということになるが、将来、異なるアーキテクチャーが登場しないとも限らない。

 「ユーザーが関心を抱くのはあくまでロジックだ」と緒方氏は話す。

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