第2回 メインフレーム譲りの包容力と仮想化のベストプラクティスが自慢のPureSystemsPureSystemsが生まれたワケ(3/3 ページ)

» 2012年12月25日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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IaaS基盤の「PureFlex System」

 今春デビューしたPureSystemsの第1弾、IaaS基盤の「PureFlex System」は、Power7とx86の仮想マシンや、仮想化されたストレージ、仮想化されたネットワークなど、これまでならばらばらのツールで管理しなければならなかった各種のプール化された資源を統合管理アプライアンス「Flex System Manager」によって一元的に管理できるようパッケージ化した。このため、技術者が月単位の工数を要したインフラの設計・調達、構築を軽減するのはもちろん、運用・保守の工数も大きく軽減してくれる。IBMが培ってきた、いわば「仮想化環境のベストプラクティス」が盛り込まれた基盤製品だ。

 ストレージを例に挙げよう。PureFlex Systemには、仮想化機能を搭載した「Storwize V7000」がパッケージされ、仮想環境における統合ストレージのボトルネック解消を容易にしている。

 もちろん統合ストレージを高速化すればいいのだが、Storwize V7000では、より高速なSSD(Solid State Drive)とコストに優れたHDDという異なるストレージ装置をそれぞれプール化し、仮想ディスクイメージに柔軟に割り当てることで性能向上を図る。

 通常、データには使用頻度、いわゆる「温度」があり、ホットなデータをSSDに配置することでデータの処理能力を大きく引き上げることができる。IBMの検証によれば、全体の10%のホットデータをSSDに置いた場合、処理能力はおよそ4倍になるという。さらにStorwize V7000には、使用頻度に応じて自動的に格納先を変えてくれる「Easy Tier」機能が組み込まれており、工数のかかるチューニング作業からも解放してくれる。

「マルチハイパーバイザー」「マルチOS」の包容力

 今どきのIaaSの基盤ということでx86の仮想化環境をイメージしがちだが、本質的にはワークロードごとに最適なアーキテクチャーを組み合わせるという「ハイブリッド化」の思想に基づいた製品だ。このことは幾ら強調しても強調し過ぎということはないだろう。

 PureFlex Systemでは、CPUとしてPower7とx86、ハイパーバイザーはPowerVM、VMware、KVM、Hyper-V、オペレーティングシステムはAIX、IBM i(System iのOS)、Linux、そしてWindowsを選択できる。こうした「マルチハイパーバイザー」「マルチOS」を1台で統合運用できる「包容力」は、zEnterpriseメインフレーム譲りといっていい。

 今回は、仮想化技術による資源のプール化とFabric-based Architectureによるハイブリッド化によって、オープン系分散型システムの混沌を解決しようと生み出されたPureSystemsファミリーのデザインや、IaaS基盤としてのPureFlex Systemを中心に見てきたが、次回は、より高い次元でソフトウェアを最適化し、「アプリケーション実行環境のベストプラクティス」を盛り込んだ「PureApplication System」や、Flex Systemsの第2弾としてこの秋に登場した「PureData System」について紹介する。

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