日本ユニシスとDNP、異業種提携で2016年に500億円規模のビジネス創出へ

日本ユニシスと同社に資本参加した大日本印刷が業務提携の方針を発表した。ITサービスの強化やマーケティングソリューションなどの新規ビジネスの創出を目指すという。

» 2013年01月16日 16時32分 公開
[國谷武史,ITmedia]
業務提携を発表する大日本印刷の高波副社長(左)と日本ユニシスの黒川社長

 日本ユニシスと大日本印刷(DNP)は1月16日、業務提携に基づく事業方針などを発表した。クラウドを中心とするITサービスの展開の強化やマーケティングソリューションなどの新規ビジネスの創出により、2016年度に両社で500億円規模の売上を目指すとしている。

 日本ユニシスとDNPは2012年8月に業務提携を発表し、「クラウド事業」「新プラットフォームサービス事業」「マーケティング・販売連携」の3分野で協業するとしていた。これと併せてDNPは、日本ユニシスの当時の筆頭株主だった三井物産から発行済株式の約18.90%を譲り受けて日本ユニシスの筆頭株主となっている。

 同日の会見で両社は、IT関連サービスの事業基盤の強化などで2016年に約300億円、モバイルや電子商取引(EC)・決済のマーケティング関連で同200億円のビジネスを創出すると説明した。

 IT関連サービスの事業基盤ではDNPが2013年11月に千葉県でデータセンターを新設するほか、国内外の両社のデータセンターの連携と運用体制の統合を進める計画。IaaS、PaaS、SaaSのクラウドサービスと事業継続・災害復旧(BCP/DR)関連ソリューションを展開する。また、「プロトタイピングセンター」という体制を構築して、両者の技術力を活用した新規ビジネスの迅速な立ち上げも行っていくという。

業務提携の狙い

 マーケティング関連のビジネスでは両社の既存ソリューションの連携、共通・統合化を進めるほか、新規ソリューションの開発も急ぐ。既に自治体向けの電子図書館ソリューションの一本化を図っており、モバイル向けマーケティングやECなどのプラットフォームソリューションの開発を推進していく。

 日本ユニシスの角泰志専務によれば、両社の協業は2012年10月から本格的にスタートしており、200件以上のプロジェクトを実施。全日本空輸(ANA)向けのデジタルコンテンツ配信サービスや電子帳票のBPOサービス、災害情報提供が可能なデジタルサイネージシステム、電子カタログの作成および配信サービスなどのソリューションを提供しているという。

マーケティング分野での展開

 2014年度に売上高2800億円とする中期経営計画を掲げる日本ユニシスの黒川茂社長は、DNPとの業務提携による影響については精査中とし、「来年度の事業説明で述べたい」と話した。DNPの日本ユニシス株の追加取得などについては予定しておらず、現状の枠組みを維持すると説明した。

「似た企業カルチャー」

 SIやITサービスが中心の日本ユニシスと印刷大手のDNPの業務提携について、DNPの高波光一副社長は「異業種による連携だからこそ新たなビジネスモデルと市場を開発していける」と説明する。

 同氏によれば、DNPは2001年から印刷ビジネスに切り口にフロント業務支援を行う「P&Iソリューション」を3万社の顧客企業に提供しているが、「最近では基幹システムとの連携ニーズが強まり、この分野での対応強化が課題だった」と話す。協業先を日本ユニシスとしたのは、「DNPは43年前から日本ユニシスの基幹システムを採用しており、信頼関係があった。協業体制も密にするためにも資本参加も決めた」(高波氏)という。

 一方、日本ユニシスは中期経営計画でSIなどの中核事業の拡大による収益の安定化も掲げる。近年はSI需要が減少傾向にあり、DNPが持つ3万社の顧客企業にSIと新規ビジネスの両面からアプローチすることで、経営基盤の強化を図る考えだ。

 日本ユニシスの角氏は、業務提携での象徴的な活動という「統合PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)」について触れ、ユニシスのプロジェクトマネジメント経験を活用して、両社共同プロジェクトの管理や進行がスムーズに行われていると説明した。「両社で12回の事業説明を行い、のべ3000人が参加して相互理解を深めてきた。どちらも地味で真面目なカルチャーという点が似ている。4月以降、数十人体制で統合PMOの活動を本格化させたい」と述べた。

関連キーワード

大日本印刷 | 日本ユニシス | 業務提携


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ