「顧客や社員を巻き込め」── ソーシャルでビジネスを変革する健康保険会社や老舗百貨店IBM Connect 2013 Orlando Report(1/2 ページ)

フロリダ州オーランドの「IBM Connect 2013」は2日目を迎え、ソーシャルソフトウェアを活用して顧客や社員らを巻き込み、ビジネスを変革している先進企業の事例が紹介された。

» 2013年01月30日 12時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
IBMでグローバル公共セクターを統括するダン・ペリーノGM

 米国時間の1月29日、フロリダ州オーランドで開催中の「IBM Connect 2013」カンファレンスは2日目を迎え、午前のジェネラルセッションでは、ソーシャルソフトウェアを活用して顧客や社員らを巻き込み、ビジネスを変革している企業顧客の事例が紹介された。

 ジェネラルセッションに詰め掛けた聴衆を前に「(視聴者参加型の)リアリティー番組を司会している気分だ」と軽口を叩くのは、ホスト役を買って出た公共セクター担当のダン・ペリーノGM。彼は、マサチューセッツ州の民間健康保険会社、Blue Cross and Blue Shieldのビル・ファンドリッチCIOをステージに招き上げた。ヘルスケアは、間もなく未曾有の変革に見舞われる業界のひとつだ。

 米国の医療保険制度は、日本の国民皆保険とは異なるので理解しにくいが、低所得者層を中心に未加入者が多く、社会問題化している。バラク・オバマ大統領はその改革を公約に掲げて選挙を戦い、2010年には「医療保険改革法」が成立、保険加入を義務付ける制度改革が進められている。

 一方、医療費が最も高い州という悪名を着せられていたマサチューセッツ州は,「無保険社会」を解消すべく,2006年、全米に先駆けて医療保険制度改革に着手、現在、未加入者をわずか1.9%まで減らしてきている。ほかの州からすれば、お手本だ。

Blue Cross and Blue Shieldのビル・ファンドリッチCIO

 「医療保険のシステムは人命にかかわるため品質が高くなければならないが、すべての人に加入を義務付けるため、そのコストも抑えなければならない。また、個人のニーズにきめ細かく応じたものである必要もある」とファンドリッチ氏は話す。

 全米に先駆けた業界の変革に対して、Blue Cross and Blue Shieldは、IBM ConnectionsとWebSphere Portalを導入し、加入者を巻き込みながら、将来のニーズにも対応したシステムを構築する。

 「例えば、32歳のジョシュさんは、フィットネスは利用していない、血圧降下剤を使用している、といった個々のニーズやリスクを織り込んで保険加入者へのサポートをパーソナライズしている」(ファンドリッチ氏)

 Blue Cross and Blue Shieldでは、郵便、電話、Webサイトというマルチチャネルも上手く統合しており、加入者が望む手段でサポートを受けられるようにしている。ファンドリッチ氏によれば、将来は「モバイル」と「ソーシャル」がますます重要になるという。

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