2013年新春インタビュー

すべての日本企業を支えていく 日本IBM・マハジャン専務2013年新春特集「負けない力」(1/2 ページ)

日本IBMのソフトウェア事業を率いるヴィヴェック・マハジャン専務執行役員が、IBMならではの強さや可能性を語った。

» 2013年02月08日 08時00分 公開
[聞き手:伏見学,ITmedia]

 2013年の戦略目標として、ビッグデータやセキュリティ分野への注力を宣言している日本IBMのソフトウェア事業。同社の専務執行役員でソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏に、これまでの取り組みや、自身のリーダーシップなどを聞いた。


まだIBMの力を生かし切れていない

――まずは2012年のソフトウェア事業のビジネスについて総括いただけますか。

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏 日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏

 セキュリティ、ビッグデータ、ソーシャルなど新しい分野でのチャレンジができた1年でした。ミドルウェア基盤製品も好調でした。グローバル全体ではソフトウェア部門が前年同期比で売上高3.5%増という決算発表がありましたが、日本においても数字として良い結果が現れています。

 また、日本市場に対するアウェアネス(意識)を高めることができました。元々、IBMそのもののブランド力はありますが、昨年はソフトウェアのブランディングも向上しました。そうしたことを踏まえると、我々が立てた戦略は間違いではなかったと考えています。

――アウェアネスを高める具体的な狙いは何でしょうか。

 日本企業がソフトウェアを活用して新しいビジネスを創造したいというときに、まずはIBMに声を掛けるという状況を作りたいからです。IBMのソフトウェアがなければビジネスができないとまで言われるようになりたいです。実際、IBMほどポートフォリオの広い企業はありません。

――昨年1月にソフトウェア事業全体を統括する担当役員になりました。ご自身でこの1年を振り返り、自己採点すると何点でしょうか。

 まだまだできていないことが多く、40〜50点くらいだと考えています。IBMができることはとても多く、この会社は日本を変える力があります。例えば、スマートシティやスマータープラネットなど、世の中に影響をもたらすビジョンを掲げていることからも言えるでしょう。

 そうした中で、我々はもっと日本の顧客にリーチして、ソフトウェアやハードウェアを含めたIBMのバリューを伝えていく必要がありますし、IBMのソリューションを企業規模や地域に関係なく、より多くの顧客に評価していただかねばなりません。この点で、まだやり切れていないのが現状なのです。

 顧客がIBMに期待することは3つあると考えています。1つは新しい市場を作ること、2つ目は新しい技術を提供すること、3つ目はグローバルで培ったベストプラクティスによって顧客の成功を支援することです。技術に関しては、20年連続で最多件数の米国特許を取得しています。こうしたバリューをもっと伝えていくべきなのです。

全国各地に“ミニIBM”を

――顧客拡大については、昨年から地方の中堅・中小企業をメインターゲットとしたビジネスを強化しています。これに関して、今後の具体的な取り組みについて教えてください。

 地方のビジネス強化はマーティン・イェッター社長自らが旗振り役として取り組んでおり、成果を出さないといけません。それぞれの地域で、例えば、「大阪IBM」や「福岡IBM」などと、IBMのミニ版として自立してビジネスを展開してもらいたいです。新しい顧客を獲得するのは、ものすごく労力がかかるものです。それを覚悟した上で投資しますし、リソースを投入していきます。パートナーとの協力体制もいっそう強化します。

――中堅・中小企業に対する戦略は、大企業に対するものと異なると思います。どう攻めますか。

 中堅・中小企業は新しいテクノロジーに前向きで、大手企業よりも先を走りたいという気持ちがあります。また、価値に対して敏感で、1円の投資でもそれ以上のリターンを期待します。そこでパートナーと密に連携して、中堅・中小企業にあった製品やソリューションを提供する必要があります。IBMの製品なら何でもいいということはありません。メインフレームを提案しても意味がないのです。

 この市場を拡大するため、我々の組織のKPIとして案件数も重視するようにしました。たとえ商談の金額が大きくなくても、初めてIBMとお付き合いするという新規顧客であればきちんと評価します。どこまで新しい顧客の獲得数を増やせるかに注力します。

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