IPベースのVPNサービス市場は3.0%減――IDC予想

IDC Japanが国内WANサービス市場予測を発表。今後もマイナス傾向になるとみる。

» 2013年08月27日 17時28分 公開
[ITmedia]

 IDC Japanは8月27日、国内WANサービス市場予測を発表した。2012年の国内WANサービス市場において、国内広域イーサネットサービス市場規模は前年比3.7%増の3121億円(実績値)、IPベースVPNサービス市場規模は同3.0%減の1598億円となった。2012年に開始したイーサネット専用線に関する分析での2012年サービス市場規模は428億円となっている。

 IDCでは、国内で契約/利用されるWANサービス市場を「国内WANサービス市場」と定義し、広域イーサネットとIPベースVPNという、大きく2つのカテゴリーに分けて分析を行っている。

 広域イーサネットについては、地域系市場に強みを持つNTT東西が前年に引き続き、次世代型の広域イーサネットサービスである「ビジネスイーサ ワイド」の販売を拡大し、シェアを拡大させている。また、IPベースVPNについては、IP-VPN(スタンダード)、ライトVPN、インターネットVPNの3つで構成されており、IP-VPN(スタンダード)の売上規模は、新規契約の減少や単価の下落により継続して縮小している。ライトVPNとインターネットVPNの売上規模成長率は現時点では堅調であるものの、IP-VPN(スタンダード)のマイナス分をカバーするまでの伸びは期待できないことから、IPベースVPN市場全体としては今後もマイナス傾向が継続するとIDCは予測している。

 カテゴリー別の通信事業者シェアを2012年の実績値でみると、広域イーサネットについては、NTT東日本が20.7%でトップ、第2位が18.7%のKDDI、第3位は14.3%のNTT西日本となっている。一方、IP-VPN(スタンダード)では、第1位のNTTコミュニケーションズが49.7%とほぼ半数を占めており、第2位が21.6%のKDDI、第3位が20.2%のソフトバンクテレコムの順になっている。

 国内WANサービス事業者は、Arcstar Universal One(NTTコミュニケーションズ)やKDDI Wide Area Virtual Switch(KDDI)のようにさまざまなサービスを包括的に提供する「全方位サービス型」と、比較的特定のサービスにフォーカスして提供する「特定サービス型」の二極化傾向がますます顕著になってきており、競争領域のすみ分けが重要になってきている。

 コミュニケーションズ リサーチアナリストの鳥巣悠太氏は、「全方位サービス型の事業者は、新規の中堅。中小企業顧客への提案サービスレベルの最適化や、獲得顧客へのインタラクション活性化に向けた施策が重要になる」とコメントしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ