クラウドは地方にとって有力なビジネスモデルMIJS Conference SENDAI JAPAN 2013

仙台市で行われたワークショップイベント「MIJS Conference SENDAI JAPAN 2013」において、サイボウズの青野社長がクラウドがもたらす社会変化について語った。

» 2013年09月20日 07時30分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本のソフトウェア企業が集まるコンソーシアムである メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS)は9月19日、宮城県仙台市の仙台国際センターにて地方での年次ワークショップイベント「MIJS Conference SENDAI JAPAN 2013」を開催した。

 同イベントは、これまで和歌山、岐阜、大阪、沖縄、高知で行われており、今年の仙台が6回目の開催となる。オープニングでは、MIJS コンソーシアム理事長で、エイジア代表の美濃和男氏が挨拶に立った。MIJSは世界へ打って出ることを大きなミッションに掲げており、「MIJSはIT業界の野茂を目指す」と美濃氏は理念を語った。そのために必要なのは、いかに外部から「刺激」を受けるかだとする。「ソフトウェア産業は人の頭と手でしか付加価値を生み出せないもの。人がどれだけやる気を出すかがすべてだ」と美濃氏は力強く語った。

グループウェア専用のクラウドを!

 続いての基調講演では、MIJS監査役でサイボウズ社長の青野慶久氏が登場。「クラウド時代到来でIT企業はどう変わるべきか」と題した講演を行った。青野氏は「クラウドによって社会そのものがダイナミックに変化していく。いかにこの“雲”に乗っていくかが重要になる」と強調した。

サイボウズ社長の青野慶久氏 サイボウズ社長の青野慶久氏

 クラウドが社会にもたらした影響は計り知れない。例えば、音楽やゲーム、出版などの情報産業は構造そのものが抜本的に変化し、ゲームソフト会社やレコード会社といったかつてのメインプレイヤーが厳しい状況に立たされている。一方で、クラウド経由でコンテンツを提供するソーシャルゲームプロバイダーや音楽配信サービス会社は大きな利益を上げている。まさに、システムが「家内制手工業」から一気に「機械制大工業」に移ったといえよう。

 そうした中、企業システムの世界にも必ずクラウドの大きな波が到来すると青野氏はいう。スマートフォンやタブレットといったモバイル端末もその動きを後押ししている。「今こそクラウド分野に日本のIT企業は打って出るべき」と青野氏は声を大きくする。

 実際、サイボウズでは、創業から16年間で約5万社の顧客を獲得し、国内トップシェアにまで上り詰めたグループウェア製品で得たノウハウや収益力を武器に、同社のこれからの大黒柱としてクラウド事業に大きく舵を切った。

 2011年にインフラからすべて自社開発したクラウド基盤「cybozu.com」を発表し、PaaSサービス「kintone」の提供を開始した。加えて、エンタープライズ向けグループウェア「ガルーン」や「サイボウズ Office」のクラウド版を提供することで、クラウドに対する強い姿勢を示している。現在、5000社が有料契約しており、ユーザーは月間200〜300社のペースで増加しているという。

「サイボウズはグループウェア専用のクラウドでチャンスを広げていく」(青野氏)

 また、場所や時間を選ばないクラウドは地方企業にとっても有力なビジネスモデルになるという。青野氏は「システムがクラウド上にあるので、東京の顧客を仙台から支援するのも容易。地方は人件費を考えても有利であるため、クラウドを使って、新しいビジネスにシフトしていってもらいたい」とエールを送った。

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