CIOが直面する2014年の課題は「デジタル化」への対応Gartnerが調査

世界77カ国2339人のCIOを対象にした調査で、約半数が「デジタル化の波の早さに対応できない」と回答した。

» 2014年03月12日 16時00分 公開
[ITmedia]

 ガートナー ジャパンは3月12日、世界77カ国2339人のCIOを対象に実施したビジネスの優先課題や戦略に関する調査の結果を発表した。それによれば、51%のCIOが「デジタル化の波の速さに対応できない」、42%が「デジタル化の未来に立ち向かうために必要な人材が足りていない」と回答した。

 調査でガートナーは、企業ITでは「クラウド」「モバイル」「情報」「ソーシャル」の4つのテクノロジーの結びつきや「モノのインターネット」によって大きな変化を遂げる「第三の時代:デジタル化」が始まっているものの、大多数のCIOがその準備を整えられていないと指摘。なお、「第一の時代」は、ITによって新しいことが実現したこと、「第二の時代」はITの信頼性、予測性、オープン性、透明性が高められたという。

 バイス プレジデント兼ガートナー フェローのデーブ・アロン氏は、「ビジネスの効率化と成長という恒常的なニーズに応えながら、デジタル化という全く新しいパラダイムへとシフトする。2014年はこれら2つの目標を追う年になり、どちらか1つの目標のみに注力するという選択肢はない」と提起する。

 CIOの回答をみると、2014年のIT支出のうち4分の1は、IT予算では無いところから発生しているという。しかし、実際にはそれ以上の支出が生じている可能性が高く、業務部門などがデジタル化をチャンスと捉えて、IT支出へこれまで以上に深くかかわっていることがうかがえる。逆にみると、IT部門がデジタル化の機会に対応できる俊敏性や体制を備えていないという不安もうかがえるとしている。

 バイス プレジデント兼エグゼクティブ・パートナーのグラハム・ウォーラー氏は、第二の時代からは第三の時代への移行における“葛藤”を「堅実性と迅速性」「保守性と革新性」「初志貫徹と臨機応変」という対義語で表現する。CIOは、「安全で安定したIT」と「より俊敏でノンリニアなIT」の2つの流儀で企業ITの運営に取り組まなければならないと指摘する。

 こうした変化に向けて調査に回答した企業の4分の1は、パブリッククラウドに多額の投資をしており、大多数の企業が2020年までに自社ビジネスの半分以上でパブリッククラウドが運営されると答えた。また、70%は今後2〜3年内にプロバイダーを乗り換え、現在より規模の小さなプロバイダーやスタートアップ企業と取引したいと考えていることも分かったという。

 アロン氏は、CIOと企業がデジタル化の波に対応できれば、企業が大きな新しい価値を創出し、CIOとIT部門も新たな役割を担って信頼を高めることになると提起する。しかし、デジタル化に対応できなければ、ビジネスが失敗し、IT部門の存在意義はほぼ間違いなく失われると警鐘を鳴らしている。

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