企業のスマホ導入、「BYOD併用」が主流に

JIPDECとITRが企業のIT利活用動向調査では、スマホの導入形態で「会社支給のみ」よりも、「会社支給+私物」「私物のみ」が多いことが分かった。

» 2014年03月19日 12時23分 公開
[ITmedia]

 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は3月19日、国内企業を対象に共同で行った「企業IT利活用動向調査」の速報結果を発表した。

 まず回答企業が重視する経営課題では「業務プロセスの効率化」が、過去の調査結果と同様にトップだった。2位の「社内コミュニケーションの強化」と3位の「社内体制・組織の再構築」は、前回、前々回調査よりも増える一方、「災害やシステムダウンへの対応」「IT機器・システムの更新時期への対応」は前回調査より大きく減少した。ITRによれば、今回の調査で割合が増えた項目は、過去の投資効果に不満を抱く企業の割合が高いものだという。

重視する経営課題(2011年〜2014年)

 速報結果では特にセキュリティやモバイルに関する動向に触れている。計画中を含むスマートフォンの導入状況は、端末を会社支給するとした企業で約65%に達し、「私物端末の業務利用許可」(いわゆるBYOD)も半数近くが導入を実施もしくは前向きであることが分かった。特に導入形態別の割合は、半数近くを占めた「導入済み」のうち会社支給に限定するケースよりも、併用(会社支給+私物)と私物のみを合わせたケースの方が高かった。

スマートフォンの導入状況と導入形態

 セキュリティ動向では近年注目が高まっているとする「標的型サイバー攻撃」の重視度について、「極めて重視し、最優先で対応」との回答が前回調査より4.6ポイント増加し、企業での意識の高まりが認められた。なお、「リスクの度合いが分からない」という企業も5.3ポイント増加しており、対策内容に悩む傾向も強まっていることが判明した。

 セキュリティ支出の増減計画は、全ての項目で「横ばい」とする回答が半数以上を占めたが、「増加する見込み」と答えた割合が高い項目ではモバイル対策や外部攻撃対策、災害対策などが挙がっている。

 速報結果についてITRシニア・アナリストの舘野真人氏は、「スマートデバイスは、活用の具体的な成果が問われるようになっている。BYODでも従業員に業務活用しやすい環境を提供しようという前向きな姿勢から採用が進み、実際にそうした積極的な企業が効果を上げる傾向にある」とコメントしている。

 調査は従業員50人以上の企業のITや情報セキュリティ責任者を対象として1月27〜31日に実施し、642件の有効回答を得た。詳細結果はJIPDECが5月に公表する予定。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ