「マイナンバー」への対応で実施すべき5つのポイントマイナンバー・企業の対応と注意点(2/4 ページ)

» 2014年09月17日 08時00分 公開

行政機関・自治体等が実施すべきこと

 行政機関・自治体等で主に実施すべきことは次の5点になります。

1.住民への個人番号付番、通知

 2015年10月の国民への個人番号通知に向けて、同年の5、6月頃より、地方公共団体情報システム機構(以下、「J-LIS」)が各自治体に対し、住民基本台帳上で各自治体に居住する住民の個人番号を通知します。各自治体はJ-LISからの通知を受け、同年10月までに各自治体の住民基本台帳を管理するシステム(以下、「住基システム」)に個人番号を登録する必要があります。登録結果については住基システムから住基ネット経由でJ-LISへ通知され、全国民に郵送で個人番号が通知されます。

2.届出、申請等での個人番号の利用

 2016年1月からの個人番号利用の開始に向けて、行政機関・自治体等は個人番号に基づく本人確認、審査、帳票への個人番号の記載等を実施できるように、各業務システムの改修や運用方法の確立等の対応が必要になります。具体的には、業務システムの改修では個人番号による検索機能や画面への個人番号欄の追加、出力帳票への個人番号の追加が必要となり、また、運用方法の確立では番号法施行規則に規定された本人確認等に基づく運用が必要となります。

3.個人番号カードの交付

 番号制度では、本人確認の手段として通知カードと個人番号カードが新たに導入されます。通知カードについては、1で示した2015年10月の個人番号通知時に全国民に対し配布されますが、個人番号カードについては希望者のみとなります。2016年1月より、個人番号カードの交付が開始されますが、J-LISでは個人番号カードの発行や交付状況等の管理を、各自治体では個人番号カード交付にあたっての本人確認をそれぞれ担当することとなります。よって、自治体では個人番号カードの交付に向けた窓口業務の運用設計が必要であり、J-LISでは個人番号カードの交付状況等に係る情報の市町村コミュニケーションサーバへの登録機能や、J-LISとの連携機能の実装等が必要になります。

4.他情報保有機関との情報連携

 2017年1月(自治体は7月)より、行政機関・自治体等の情報保有機関との情報連携が可能になります。情報連携では各機関が他情報保有機関向けに情報提供する機能と、各機関が他情報保有機関に対して情報照会する機能が各業務システムで必要となります。これらの機能については、2016年7月から総合運用テストとして全国的な検証作業を実施することが予定され、2016年7月までに機能の実装を完了させておく必要があります。

5.特定個人情報保護評価

 番号制度の導入により、行政機関・自治体等では個人の特定や個人に係る情報の紐付けを効率的に実施できるようになりますが、一方、国民にとっては「個人情報が不正に紐付けられ、利用されているのでは」という不安も助長されます。そこで、番号法第27条では個人番号を保持する前までに、プライバシー保護に係るリスク対策を立てて国民等に公表し、国民等からの信頼確保を目的とした「特定個人情報保護評価」の実施を義務付けています。特定個人情報保護評価については、原則として業務システムの改修工程の中で、プログラミング作業の開始前までに実施することが定められています。

 1〜5で示した実施事項に基づいて行政機関・自治体等でこれから想定されるスケジュールは図2のようになります。

図2 図2:行政機関・自治体等で想定されるスケジュール

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