「マイナンバー」への対応で実施すべき5つのポイントマイナンバー・企業の対応と注意点(3/4 ページ)

» 2014年09月17日 08時00分 公開

民間企業が実施すべきことは何か

 民間企業で主に実施すべきことは、次の5つです。行政機関・自治体等とは異なり、分野、組織別に実施すべきことの概要を説明します。

1.給与事務、法定調書作成事務での個人番号利用

 税の分野では、例えば、従業員の退職等によって住民税を特別徴収から普通徴収に切り替えるために民間企業が自治体に提出する異動届等にも、2016年1月の個人番号利用の開始以降に個人番号を記載する必要があります。

 よって民間企業は、2016年の早い時期に従業員やその被扶養者の個人番号の収集、個人番号欄の追加といった人事給与システムの改修も必要となります。特に、国民への個人番号通知が2015年10月であること、利用開始が2016年1月であることを考慮すると、従業員等からの個人番号の収集作業を効率的に進める運用方法を確立することが重要です。

 さらに、民間企業では2016年1月の個人番号利用開始時より、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」等の各種法定調書への個人番号の記載が必要となります。民間企業は、2016年1月までに報酬等の支払時における個人番号の確認、帳票への個人番号欄の追加等の運用方法の確立や関係システムの改修が必要になります。

2.金融機関が作成する法定調書への個人番号利用

 金融機関では番号法第9条3項で規定する各種法定調書において、個人番号の記載が必要になるため、顧客への個人番号の確認、各種法定調書を作成するための業務システムへの個人番号入力等の対応が、2016年1月から必要となります。

 番号法第9条3項で規定する法定調書の中で、金融機関としての対応が求められる法定調書は、利子等の支払調書(銀行)、配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書(証券会社)、生命保険契約等の一時金の支払調書(生命保険会社)等です。

 なお、2016年1月時点で既に契約済みの案件については、番号法整備法の「租税特別措置法の一部改正に伴う経過措置」の第8条3項で規定する特定口座、5項で規定する非課税口座であれば、個人番号利用開始日から3年を経過した最初の日以降の取引時に個人番号の本人確認等を行えばよい、という経過措置が認められています。

3.激甚災害対応での個人番号利用

 番号法第9条4項では国民が激甚災害発生時に通帳、カード等を持たずに避難してしまった場合においても、避難者の個人番号を確認できれば、銀行や生命保険会社、損害保険会社等の金融機関は事前に締結した契約に基づいて金銭を支払うことができると定められています。よって、金融機関は2016年1月以降に激甚災害が発生した場合に備え、番号法第9条4項に基づく運用を検討しておく必要があります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ