まだまだ続くヤジ・暴言問題 「昔は良かった」の思考にしがみつくな萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/2 ページ)

» 2014年09月19日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]
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セクハラおやじに言いたい!

 セクハラ事案の仕事で顧問弁護士と同席すると、たいていの被疑者である管理職のおじさんはこう言う。

「なぜ? 昔は笑って済んでいたはずだろう。単に新人女性のお尻を触っただけじゃないか! 親睦のつもりだけなのに……」

「社長! あなたが部長の頃だって同じことをしたじゃないですか! 私は知ってますよ。なぜ私だけ責められるのですか」

 おじさんは、時代が、そして世間が変ったことに気が付かなかっただけなのだ。彼らは仕事だけをしていればいいという過去の遺物でしかない。

 周囲は年配であるおじさんに何も言わない。ただ、「上位=偉い=何をしても許される」という彼らの経験則は「傲慢」でしかない。一刻も早く「単なるスケベおやじ」であることに気が付いていただきたい。セクハラや暴言をしたおじさんの気持ちなどは全く関係がないし、裁判でも考慮されることはない。唯一考慮されるのは、「事実があったのか?」、被害者が「不快と感じたかどうか」、それが全てである。

今回の問題の本質

 今回はセクハラ発言をした都議が「男女共同参画社会推進議員連盟」の会長であり、この連盟がそもそも都議会でのセクハラ発言事件をきっかけに作られたものであるということだ。

 その会長が「平場なら許される」という。新人職員ですらそういう発想をしない時代に、である。この都議は単なる無知のおじさんであるということだ。「地方議員は同じ様なものだ」という評論家も見聞きするが、そんな現実はあまりにも悲しい。有権者が誰に投票すべきかという点につながるほどの大問題とみる人も少なくない。

 せめて常識はきちんと勉強し、法を守ることに徹底していただきたい――そう言わずにはおれない。東京都ですらこれだ。せめて限界集落の多い地方やさらにその影響下にある市や町の議員さんにはぜひがんばってほしいと思う。

 本稿執筆中(9月18日)に、号泣で話題になった元兵庫県議がカラ出張を認めるとのニュースが届いた。こういう人はごく一部と思いたいが、兵庫県だけでも複数の県議による横領が発覚している。号泣した元県議の事件と一括りにできないかもしれないが、なんとなく同じ臭いを感じる。

 都議も素直に会見を開き、せめてそれなりの責任を取るのが筋だと思うのだが、いかがだろうか。

萩原栄幸

日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。

組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。


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