iPhone/iPadやAndroidのOfficeにみるマルチプラットフォーム化の行方Enterprise IT Kaleidoscope(3/4 ページ)

» 2014年11月25日 06時00分 公開
[山本雅史,ITmedia]

 このようにMicrosoftは、OfficeをWindowsやMacだけの有償アプリとして囲い込むのではなく、iPad/iPhoneやAndroidタブレット/スマートフォンなどを含むマルチプラットフォーム化を図ろうとしている。さらに、一部のプレミアム機能をOffice 365ユーザーに限定しているが、それ以外の多くの機能は無償で利用できる。

 これは、Office自体をパッケージ アプリケーションとして販売する時代から、Office 365のようなクラウドベースのサブスクリプションモデルのサービスへとシフトさせつつあることが理由だろう。クラウドベースのサービスとしてOfficeを考えれば、もはやWindowsのみフル機能を利用できるというのは、デメリットでしかない。やはり、市場の多くを占めるAndroidやiPad/iPhoneを対象から外したサービスは受け入れられにくいとの判断がMicrosoftにはあったのだろう。ある意味、同社はWindowsに固執しなくなってきているようだ。

 ただしデバイスの性質を考慮すると、タブレットやスマートフォンのみで、PowerPointのプレゼンテーションやWord文書などを新規に作成することは、実用的ではないだろう。もし会社や自宅に戻ってデスクトップPCや大型のノートPCが使えるなら、それらで作成した方がはるかに効率的だ。これはWindowsタブレットにもいえる。

 結果的には、キーボードやマウスなどの入力デバイスがあるかどうか、液晶ディスプレイが大型なのかどうかといった観点から使い分けされていくだろう。タブレットは簡単な修正ができ、営業などが顧客先でプレゼンをするといった利用シーンが一番に当てはまる。画面の小さなスマートフォンは、ドキュメントの簡単な確認程度といった具合だ。

 このようにデバイスごとの特性や様々な利用環境を考えれば、1人のユーザーが使うデバイスは、PCだけではなく複数のタブレットやスマートフォンを併用するスタイルになっていく(現状でもこのような環境になっているが)。このような環境でもOfficeをうまく利用できるようにしていこうというのが、Microsoftの描く今後のOfficeの方向性なのだろう。今までライバルと思われていたiPad/iPhone、Androidなどにフル機能のOfficeを提供していこうとしているのは、そうした方向性を示す動きともいえる。

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