ガートナーが3つの逆転思考を提言、「情報システム部門こそデジタル化の牽引役に」

ガートナーが「CIOサーベイ」の調査結果を明らかにした。CIOの課題についてインタビューを行い、「CIOアジェンダ2015」としてとりまとめたもの。デジタル化を「脅威である以上に絶好の機会」とし、情報システム部門の個々の人材が自由な発想でデジタル化に挑戦できる組織文化を目指すべきだと提言する。

» 2015年01月22日 09時20分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「情報システム部門こそ、ビジネスのデジタル化を推進するリーダーとなるべきだ」── ガートナージャパンは1月21日、「CIOサーベイ」の調査結果を明らかにした。同社エグゼクティブプログラムに参加する企業を中心にCIOの課題についてインタビューを行い、「CIOアジェンダ2015」としてとりまとめたもので、1999年から毎年行われてきた。今回の調査には84カ国2810人が回答、そのIT予算の総額は3970億ドルに上る。日本企業のCIOも61人が回答している。

 ソーシャル、モバイル、アナリティクス、そしてクラウドといったテクノロジーの潮流は、ほとんどすべての企業のビジネスを根底から変えようとしている。いわゆるビジネスの「デジタル化」だ。ガートナーでもここ数年、この「デジタル化」をキーワードにして提言をとりまとめてきており、2013年のCIOアジェンダでは、CIOや情報システム部門に「静かなる危機」が迫っていると警鐘を鳴らし、昨年のそれでは既存IT組織とデジタル化を担う組織を情報システム部門内に編成する「2つの流儀」を推奨している。

 引き続き最重要のテーマとして掲げた今回のアジェンダでは、デジタル化を「脅威である以上に絶好の機会」とし、受け身ではなく、CIOが明確なビジョンを掲げたうえで、情報システム部門の個々の人材が自由な発想でデジタル化に挑戦できる組織文化を目指すべきだと提言する。

 ここ数年、デジタル化の担い手として「チーフデジタルオフィサー」が脚光を浴びてきたが、ここへきて「ハイプカーブ」のように熱気が冷めてきたという。エグゼクティブプログラムを担当するグループバイスプレジデント兼エグゼクティブパートナーの長谷島眞時氏は、「やはりテクノロジーをきちんと活用していくのは難しい。例えば、デジタル化の突破口のひとつはデータの活用であり、その基盤整備と運用は情報システム部門でなければ担えない。もちろん、既存の情報システム部門がデジタル化をリードしていくには、克服していかなければならないギャップがあるが、社内の多様な事業を横断的に理解するなど、そのマルチな能力は生かされるべきだ」と話す。

 長谷島氏は、現状とのギャップを埋めるために逆転の発想で見直さなければいけない筆頭に「IT投資」に対する考え方を挙げる。

 「既存ITのコストを削減し、それを原資にして新規投資する、という考え方では、デジタル化は推進できない。IT投資もほかの事業の戦略投資の一部とし、なおかつ評価も単独では行わないようにすべきだ」(長谷島氏)

 今回のアジェンダではまた、新たなデジタルテクノロジーを前提にビジネスの打ち手を探る「デジタルファースト」へ発想を転換することや、これまでとは対極にある考え方も受け入れて多様性のある「ワイガヤ」文化をつくっていくことも含め、CIOがデジタルリーダーになるための3つの「逆転思考」と位置付けている。

 なお、2015年の重点投資テクノロジーのトップ10は以下のとおり。1位から5位までは順位こそ違うが同じ項目が並んだ。

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