日比谷花壇のカーネーション母の日商戦 「売上120%達成」その裏側に部分最適から全体最適へ(1/2 ページ)

大切な人に花を贈る──。フラワーギフト店大手の日比谷花壇が、実店舗やEC、それぞれの販売チャネルと業務バックエンドが抱えていた課題を解消する、EC/通販の統合基盤を導入した。その効果とは……。

» 2015年02月24日 13時59分 公開
[ふじいりょう,ITmedia]

 大切な日に、大切な人を思い、花を贈る。人間社会にはとてもよい習慣がある。

 1872年創業、1950年に東京・日比谷公園の前に出店。「日比谷花壇」は、全国約180店、従業員1552人(2014年10月時点)を抱え、フラワーギフトの企画や制作などの事業を展開する生花業界のトップ企業だ。

photo 日比谷花壇のWebサイト

 インターネット黎明期の1995年より、ネット上で顧客から発注を受けて商品をオンラインサービスを展開、2001年には、より進化させた直販サイト「hibiyakadan.com」を開設。早期よりネット通販を手がけていたことでも知られる。日比谷花壇には、実店舗、コールセンター(電話)、そしてECサイト、複数のチャネルで顧客サービスを展開している。

経緯と課題:各チャネル個別に部分最適が進んでいたがゆえ……

 これまでも同社は、ECサイトを含めた事業の成長とともに、販売や在庫管理、配送管理といったバックエンド業務の効率を高めるITシステムを個別に構築していた。ただ、「部分最適はかなり進んでいる状況ではありました。が、全体のサービス品質や業務効率化の観点で、いくつかの解消すべき課題を抱えていました」(日比谷花壇EC事業部の中山真吾部長/出典:NEC Webサイト)という。

 生花は、誕生日や結婚記念日といった個人に関連する記念日での需要に加え、母の日、クリスマス、年末年始など、決まった時期に重要が急増する「商戦期」がいくつか存在する。年間を通すと波がある時期をふまえ、商戦期のプロモーションにおいていかに質のよいサービスを提供できるか。この部分を大枠の課題に挙げていた。例えばECサイトでは、記念日である「母の日」に到着するのがベストだ。記念日を過ぎたらサービスは成り立たたない。在庫や配送時間のマージンも考える。そして、さらなる顧客の希望を叶えるため、商戦期はその当日(例えば、母の日)の直前まで受注できるようシステムと体制を改善した。

 EC側でこう顧客サービスの改善を進めたが、今度は店頭でのオペレーション体制にしわ寄せが来た。店頭での受注は、ECサイトより前に締め切る必要が生じてしまった。昨今、きっかけはWebサイト起点の場合も多いが、すぐ、確実に買いたいと期待して店頭へ出向くことも多いだろう。「そう期待して来店されたお客様に、受付終了を伝えるのは、とても心苦しかった」(日比谷花壇 情報戦略統括部情報システム部の郄見澤輝彦副部長/同上)。

 また、受発注業務にも課題があったという。全国の店舗で注文を受けると、コールセンターへFAXで送信し、それをオペレータがシステムに記入するという運用だった。時間のロス、ミス発生の可能性、そしてデータ入力作業のアウトソーシングにも相応のコストがかかっていた。

課題

  • EC、実店舗、電話、販売チャネル別に部分最適化が進んでおり、統一したサービスやプロモーション展開が困難だった
  • バックエンド業務が複雑で時間や労力のロスがあり、ミスを誘発する可能性もあった
  • 客の目的に応じ、より分かりやすく利用できるECサイト構築の手段を必要としていた

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ