死後にPCやデータをどうすればいいか――IT終活のススメ萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/3 ページ)

» 2015年03月27日 08時00分 公開
[萩原栄幸ITmedia]

どんなことをしてもらうのか?

 死後に遺族や知人にしてほしいことは人それぞれだろう。ここでは一般的なものを挙げるが、その以外のものは自身の希望や環境に合わせてエンディングノートに記載していく。

PC本体

 まずは起動用のOSのIDとパスワード、複数のIDを登録していなら管理者権限のものを記載しておく。個別対応が必要な場合は、その処理方法について明記する。利用しているソフトやサービスについてどうしてほしいかも伝える。一般的には次の通りだ。

メール……プロバイダのメールサービスや無料メールサービスなどを活用している場合が多いだろう。きちんとその存在や用途を説明し、すぐに退会するもの、一定期間は放置してもいいものなどを記載する。最も注意すべきは、定期的に自らが情報発信していたり、家族に内緒でネット売買をしたりするケースである。既に売買が成立していたら商品を発送しないといけないこともある。そういう可能性のある行為(ネットでの出店など)はID、パスワードの照会方法と脱退の仕方についても明記しておく。メールは個別対応になるのは避けられないだろう。友人向け、取引先向けというジャンルでメーリングリストを作成しておくのも手だ。

金銭関連……ネットバンキング(金融機関名、ID、口座番号、パスワード、照会先など)や証券会社、家族に内緒で契約した保険などがある。

有料サイト……会社名やID、パスワード、解約方法などは必須。例えばWeb記事の有料会員やレンタルDVDの月会費、アダルト系有料サイトなどがある。無料サイトは脱退した方がいいが、そのままでも実害は少ない。

ネット通販……アマゾンや楽天などのネット通販のID、パスワードを記す。上述した様に商品の予約購入などの状況確認や退会の方法も記載する。特に購入したものは一覧表に記入して年1回は保守しておく。ダウンロード版の各種ソフト、電子書籍、ゲーム、高画質画像、最近ではオンラインゲームで取得もしくは金銭で購入したアイテムなども含まれる。

 その他のファイルは、大きく(1)個人用、(2)仕事用に分けておく。それぞれ「完全消去」「外付けHDDやUSBメモリに○年保存」「友人○氏に送付」「会社に送付」など処理方法を明記しておく。

Webサイトやブログ

 自身で運営しているWebサイトやブログは、死後もきちんと管理、保存されるようにしておくか、消去を依頼する。当然だが、どちらにしても本人の死亡報知を数カ月間は掲示する。死後も管理できる人は一定のスキルが必須であり、初心者の場合は掲示板などが荒れ放題になる危険がある。エンディングノートにはそのことにも注意して対応方法を書いておきたい。最近では家族が知らないまま公開しているWebサイトが放置され、悪意の人間に乗っ取られてしまったものがあった。極めて残念であり、その後の対応も非常に大変になってしまう。

SNS

 FacebookやTwitterなどは、基本的に家族が退会処理できるならそれに委ねるのがいい。死亡通知などで問題があるものや、本人以外では手続きが困難なものもある。自分が使っているSNSについて個別に対応方法を詳しく記載し、SNS管理者にも確認しておくのが望ましい。例えば、Facebookでは自分が死んだ後、Facebookアカウントを管理してもらう「Legacy Account」を設定できる。ただし現在は米国限定だ。いずれ日本でも開始されるだろう。機能の詳細はこちらの記事を参照してほしい。

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