HPが米紙の見解に反論、「IaaSやSaaSだけの勝負ではない」

AWSやAzureに比べてHPが劣勢――米紙New York Timesの報道に対して日本HPのクラウド事業責任者は、「IaaSやSaaS事業者との競争だけがビジネスではない」と述べた。

» 2015年04月13日 15時03分 公開
[國谷武史ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカードは4月13日、OpenStackの商用版製品「HP Helion OpenStack」のバージョンアップやサービス強化を発表した。米紙New York Times(NYT)がHPのクラウド事業に否定的な見方を報道し、日本HP クラウドビジネス統括本部長の春木菊則氏は、「クラウドサービス事業者との競争でビジネスをしているわけではない」と反論した。

 NYT紙は米国時間9日、2015年10月までに分社化するHPが企業向けクラウドサービス事業でAWSやGoogle、Microsoft、IBMなどの競合に比べて劣勢にあり、事業を再検討していると報じた。HPは米国などを中心にOpenStackベースのIaaSを展開する。NYTは、米国企業で業務システムのクラウド化が加速しているものの、その多くがHPの競合サービスを採用していると伝えた。

 これに対して春木氏は、HPのクラウド事業戦略がIaaSなどのサービス提供にとどまらず、クラウド関連製品やシステム構築支援、コンサルティングサービスなど広範にわたると説明。IaaSやSaaSを選択する企業は19%に過ぎず、大半はプライベートクラウドやホスティングといった占有型のサービスを望んでいるとし、OpenStackをクラウド基盤に採用する企業は1年間で13ポイント増加しており、HPのクラウド事業戦略が企業顧客のニーズに合致したものだと強調した。

OpenStackの採用動向。検証目的から本番目的が増加しているといい、2月には国内企業で正式採用が決まったという

 また、IaaSなどのサービス提供を継続していくといい、サービス提供を通じて得られる知見や経験をOpenStackコミュニティーやクラウド関連製品などに反映している点に特徴があると述べた。

 同日発表したHP Helion OpenStack バージョン1.1ではセキュリティ管理機能や高可用性機能などの向上、運用管理の自動化支援の強化などが図られた。大容量データを格納するストレージの効率的な管理を実現するという「HP Helion Content Depot」や、企業向けにクラウド構築での採用技術動向を解説するワークショップサービスの拡充などを併せて発表した。

HP Helion OpenStack 1.1の変更点

 新サービスについてテクノロジーコンサルティング事業統括本部 ビジネス開発本部長の庄野雅司氏は、クラウド導入ではシステムの仮想化から複数のクラウド環境を統合的に運用していくという段階的な成熟過程があり、各段階で企業が採用すべき技術などについて理解を促すものと説明している。

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