ESETとキヤノンITSがセキュリティ製品群を刷新 国内シェア3位狙う

国内ユーザー企業に直接要望を聞いて開発したという管理ツールやエンドポイント向けセキュリティソフトの新バージョンを展開する。

» 2015年04月16日 19時00分 公開
[國谷武史ITmedia]

 セキュリティ企業のESETと国内総販売元のキヤノンITソリューションズは4月16日、法人向けセキュリティ製品の新バージョンや戦略を発表した。販売・サポート体制の大幅に増強し、国内シェア3位を狙うとしている。

 エンドポイント向け製品は統合版(Windows、Mac)やウイルス/スパイウェア対策(Windows、Mac、Android)、サーバ向け製品はウイルス/スパイウェア対策(Windows、Linux)やクライアント管理の「ESET Remote Administrator 6」を秋から順次展開。ESET Remote Administratorは6月に先行評価版を無償リリースする。

 エンドポイント向け製品の新機能ではエクスプロイトの防御と、脆弱性悪用攻撃やボットによる不正通信を遮断する。メモリ上で活動する高度化されたマルウェアの振る舞い検出機能も強化された。

アプリケーションの脆弱性を突く攻撃の挙動を検知する新機能の「エクスプロイト・ブロッカー」

 ESET Remote Administratorでは管理者コンソールがブラウザベースとなり、グラフィカルユーザーインタフェースの採用やダッシュボードの機能強化、多数のクライアントマシンへのエージェント展開を容易にする「RIP & REPLACE」機能を搭載している。また、管理サーバの構築が不要で遠隔地のクライアント端末も統合管理できるクラウド版を新たに提供するという。

管理ツールも大幅に刷新し、使い勝手や機能性を重視したという

大企業で採用拡大

 事業動向についてESETのリチャード・マルコCEOは、180カ国以上でのビジネス展開により、2014年の売上高が4億3300万ドルを突破、シェア5位(米Gartner調べ)になったと説明。国内では2003年にキヤノンITソリューションズと協業体制を構築して以降、順調な成長を継続しているとし、2014年は60億円強の売上を達成。ミック経済研究所の調査では国内シェア4位(10.4%)を獲得している。

ESETの顧客企業

 ESET製品は、古くは「動作が軽い」「振る舞い検出技術」といった評判で、コアなPCユーザーを中心に支持を集めてきたという。キヤノンITソリューションズと協業を通じて個人ユーザーの拡大や中堅・中小規模の法人ユーザーの獲得に成功し、近年はホンダや三菱自動車、東芝などの大企業でも採用実績が増えているという。

 新バージョン製品の開発では国内ユーザー企業を訪問して機能への要望を直接ヒアリングし、「次なる成長に向けて5年に渡る開発に取り組み、ニーズの大半を新製品に反映させた」とマルコ氏。営業・マーケティング最高責任者のイグナシオ・スバンパト氏は、「キヤノンITソリューションズとの連携をさらに密にし、日本でも世界でも早期にシェア3位を獲得したい」と意気込んだ。

ESETの認知向上に加え、具体的なソリューション展開にも注力する

 キヤノンITソリューションズの近藤伸也執行役員は、「2014年は40%以上の成長を達成したが、シェアはまだ10%程度に過ぎない」と話し、4月1日付で大企業顧客に対応する専任部門を設置したと説明。医療など業種特化型の販売・サポートを強化していくとした。

 製品戦略ではHDD暗号化ツールや仮想デスクトップ向けセキュリティソフト、オフライン環境用のUSB型セキュリティツールの投入を予定している。

会見した近藤氏、マルコ氏、スバンパト氏(左から)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ