PMBOKを勉強し始めたはいいけれど……“わけわかんない”言葉たちがつぎから次へと襲ってくるからもう大変。プロジェクト憲章? 憲章って何? の、のり?? この「分からない連鎖」を断ち切ってくれたのは、何と社員旅行の相談にふらりとやってきた来たA子だった……。
会社でヘルプデスクを担当する私が、ある日突然、在宅ヘルプデスク部門開設プロジェクトのマネジャーに任命されてしまったから、さぁ大変。鬱憤晴らしで飲みに出かけたら、今度は勢いでPMBOK(ピンボック)とやらを勉強するハメに……。しかもしかも! いつの間にかPMP(Project Management Professional)の資格試験を受けることになっている……。私は在宅ヘルプデスク業務のプロジェクトを成功に導けるのか? PMPの試験に合格できるのか? いや、そもそも、受験できるのか?
プロジェクトマネジメントの何たるかを知るために、「PMBOK」(ぴんぼっく:プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)を学び初めてはや数日――。なんとなく、PMBOKはプロジェクトマネジメント全体を「プロセス」、つまり「やることの集合体」という感じでまとめていることが分かってきた。
プロセスは全部で47個もあって、それを分かりやすくするために、「プロセス群」という縦軸と、「知識エリア」という横軸で整理しているらしい、ということもわ分かってきた。なるほど、表にすることで全体を分かりやすくしよう、と努力しているのね。
きっと、PMBOKを考えた人たちは、アタマがよくて偉い人たちに違いない。だって、これを使うのは私みたいなフツーのアタマのフツーの人。アタマのいい人にしか使えない、というのでは困るもの。だからフツーの人でも理解できるよう、こんなふうに縦軸と横軸とで整理しているってわけなのね。アタマのいい人なりに、工夫してくれているってことなのかしら。
で、私はこのプロセスたちを、知識エリアごとに勉強することにした。なぜって、私がAさんから紹介してもらったeラーニングの教材がそうなってたから。まぁ、あまり細かいことは考えてないってわけ。
最初に登場した知識エリアは、「プロジェクト統合マネジメント」だった。「プロジェクト統合マネジメント」の説明には、「プロジェクトマネジメントのプロセス群にある各種プロセスとプロジェクト活動の特定や定義、統合、統一、調整などを行うために必要なプロセスと活動」とある。
……え? なんですって?
えーと、これは……いろいろなプロセスをやっていく上で、プロセス同士を一緒に行うこともあれば、その際にプロセス同士が混ざったり優先順位がわけわかんなくなっちゃったりしないようにするためのマネジメント、ということかしら?
さらに、“「統合」とは、「完了に向かってプロジェクトの実行をコントロールし、ステークホルダーの期待を適切にマネジメントする」”とも書いてある。ステークホルダーの期待を適切にマネジメントする? それって、「ステークホルダー・マネジメント」という知識エリアとどう違うの?
うーん、やっぱりアタマのいい人が考える文章って、分かりにくい! 前言撤回!
結局、「プロジェクト統合マネジメント」って、プロジェクトマネジメントの背骨みたいなものなのかな。「プロジェクト憲章作成」でプロジェクト憲章を作って、「プロジェクトマネジメント計画書作成」で全体の計画を練って、「プロジェクト作業の指揮・マネジメント」で成果物を粛々と作り上げて、「プロジェクト作業の監視・コントロール」や「統合変更管理」で細かい調整をして、「プロジェクトやフェーズの終結」でプロジェクトを終わらせる――。そんな感じなのかしら。
ん? ちょっと待った、プロジェクト憲章? 「憲章」って、何?
そこで、ふと私の頭を横切ったのが「十七条憲法」。同じ憲法を思い出すなら日本国憲法が先だろうに、なんだって聖徳太子の時代までさかのぼるのよ。あぁ、私ってつくづく面白い脳みそをしているわ……。それはともかく、憲法と憲章は同じ? 違う? ここは冷静に、深いため息、ではなく、深呼吸をしよう……。
さて、と。憲法と憲章との違いもよく分からない私としては、やっぱりちゃんと調べなきゃね。辞書を取り出し、パラパラめくってみると……次のように書いてあった。
憲法:基本となる決まり。国家存立の基本的条件を定めた根本法。
憲章:重要なおきて。原則的なおきて。憲法の典章。
(広辞苑)
出たぁ! 分からない言葉を調べたら、また分からない言葉が出てくるという、この「分からない連鎖」。典章って何よ。初めて聞いたかも。なになに、ちょっと調べてみよう。
典章:のり。(以下略)
(広辞苑)
の……のり?? 海苔? んなわきゃないわよねぇ。のり??
で、のり。
のり:のっとるべき物事。標準として守るべき事項。おきて。(以下略)
(広辞苑)
結局「おきて」ってことじゃないのよー! まぎらわしい言葉を使うんじゃないわよ!
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