“勝手クラウドの悩み”に見えた、情シスの原点俺たちの情シス第2回 リポート(1/2 ページ)

ITmedia エンタープライズ編集部主催の“情シスによる情シスのための交流会”「俺たちの情シス」、第2回が5月27日に行われました。情シスのみなさんは「従業員の勝手クラウド」をどう考えているのでしょう。

» 2015年06月01日 13時00分 公開
[岩城俊介ITmedia]
photo

 ITmedia エンタープライズは、情シスによる情シスのための交流会「俺たちの情シス 第2回」を5月27日に開催。「よその情シスと交流を深めたい」「悩みや課題を共有したい」という情シスのみなさんが大集合し、今回も盛況のうちに終了しました。

 今回は「“勝手クラウド”の悩み」をテーマに、参加メンバー自身がプレゼンし、参加者間で議論していただく「“勝手クラウド対策” ライトニングトーク大会」を行いました。3名の“攻め”の情シスの方、熱いプレゼンをしていただき、ありがとうございました。改めて御礼申し上げます。

photo 進行は編集部池田とITmedia情シスの石野

 ビジネスの現場でもクラウドやモバイル利用が急速に普及し、一般従業員(業務部門の社員)の働き方や考え方も大きく変わってきています。プライベートで使っている便利なサービスは業務も効率化できるじゃないか。便利そうなクラウドサービスがあるけど、情シスに確認を取っていたらどうせダメと言いそうだし、そんなことよりスピードが大事ですよ。業務部門、とくにそもそもモバイルに慣れ親しんでいる20〜30代の若年従業員はこう考えています。

 ……そんな気持ちは分かるけれど、情シスとしては管理が及ばないことが怖い。データ漏えいを軸にセキュリティ面がすごく心配で、内部犯行を招く可能性もあります。

 告白します。編集部は、今回のテーマにて「主にSaaSのみ、例えばクラウドストレージサービス/ファイルの共有など具体的なサービスの悩み」が多そうと勝手に想像していました。しかし、大きく違いました。みなさんそれぞれ「攻め」の意識、変革の将来像をガッツリと持っていたのです。

「従業員の勝手クラウド」が蔓延してしまう理由

photo 「クラウドストレージサービスの利用状況の把握と蔓延する理由、それが解決しそうな計画」を語っていただいたKさん

 トップバッターは、某ソフトウェアベンダー 情シスマネージャのKさん。Kさんは情シス分野はさることながら、人事分野などもカバーされている総務全般のスペシャリストです。課題は「大容量のデータ転送」。クラウドストレージサービスの利用状況と対策方法をお話いただきました。

 Kさんの会社は、Mac(MacBook Air)使用率が約5割に及ぶそうです。ですから、勝手クラウドの筆頭はiCloudだそうです。「本当は社内導入グループウェアに備わっているファイル共有機能を使ってほしいけど、なかなかそうもいかないですね。このほか、顧客などからの“ここへ入れておくので、ダウンロードして”とか、“ここへ入れて置いてくれれば、取りにいくから”……などで、勝手クラウドが広がっていってしまいます。仕方ないことですが」(Kさん)

 本当は「だれが、何を、どんな目的で使っているかを把握」したい。ここがホンネですが、Kさんの会社はちょうどよい転機がありました。あるクラウド型ファイル共有ストレージサービスの販売代理店になった(なっていた)そうです。「いいきっかけでした。ポイントはビジネスサービスであること+Macと親和性がよいこと。社標準の共有ストレージとして採用すべく、まさに導入進行中です」(Kさん)


photo 「ウチの場合も……」「こんな事態にも……」課題はみなさんいろいろあるようです

 これに対し、「うちも個人用のクラウドサービスが蔓延した」「業務部門も、顧客から“このクラウドストレージを使って”と指示されれば、何も考えず使ってしまうし、使わざるを得ない経緯も分かる」「だからすべて禁止はできない。せめて重要な情報は絶対ダメだと最低限のポリシーは守るようにしている」「使ってもよいが、ユーザー自身が管理せよ。管理、責任が取れないなら、会社で用意したものを使ってくれ。今のところこういう運用にしている」などの議論が交わされました。画像や動画、メールで送れないサイズのファイルをどうするか。個人向けサービスならもう当たり前で、いくつもクラウドサービスが思いつくと思います。しかし業務導入となると、実はまだ簡単にはいかない……。ほかの参加者も考えや状況は同じようです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ