夏休みに注意するセキュリティの脅威、傾向と対策は(前編)萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/3 ページ)

» 2015年07月17日 08時00分 公開
[萩原栄幸ITmedia]

「オレはいじめていない」はいいわけ

 一見すると、情報セキュリティとは関係がないようにみえるが、いじめる側のバカッターがインターネットネットで「おれたちはすごい」とアピールして決定的証拠をさらす。バカッターについては改めて触れるが、ここでは「いじめ」の観点から解説する。

 「いじめ」はささいなことからはじまる。イジられても、「怒らない」子どもや「怒れない」繊細な子ども、コミュニケーションが苦手な子どもからターゲットにされる。「いじめられる側にも責任がある」と指摘する大人もいるが、絶対にいうべきではない。本当にささいなことかどうか、いじめる側や大人が判断することではなく、いじめられている子どもの判断で決まる。そういう意味ではセクハラに近いものだろう。

 夏休みに開放感も高まって、つい羽目を外す子どもは多いが、相手の立場で自分の行動をみつめられるようになってほしい。もし、いじめている相手が自殺や警察に訴えたら、その時点でいじめた側の将来が終わるくらいの事態に発展する可能性が高い。

 賢い子どもはそういうリスクを回避しており、リスクマネジメントの基本程度を身に付けている。自分の子どもはどうか、親は夏休みにこそじっくりと子どもに正面から向き合ってほしい。

スマホのない生活を楽しむ

ケータイやスマホのない生活で“気付き”を得るチャンス?(写真はイメージです)

 せっかくの夏休みなので、ぜひ自由研究のテーマに「1週間スマホを親にあずけてみた」なんてもの選んでみてはどうだろうか。

 LINEの既読無視問題のように、SNSでのコミュニケーションについて子どもに的確なアドバイスができる大人はほとんどいない。その大人が子どもだった時代にSNSは存在しないからである。若い先生なら多少はアドバイスできるかもしれないが、注意事項について実体験をしているわけではない。

 上に挙げた「いじめ」にも言えるが、子どものSNSでのコミュニケーションでは「他人の気持ちを全く考慮しないが、自分の心が傷つけられることを極端に恐れる」という特徴がみられる。筆者の若い頃は、好きな子に告白して毎月のように泣き、心も傷ついたが、現代ではそんな状況に耐えられないのではないか。

 また、自分が面白いと感じてシェアした内容へすぐに返事がないと、「ムカツク」と思う人もいる。ぜひ投稿する前に一呼吸を置き、「自分だったら10分以内に必ず返事ができるか?」と考えてほしい。「そんな人はいないね」と当たり前の理屈に気が付いてほしい。

 トイレでも風呂でも持ち込みたがるスマホを、1週間全く利用しないという実験をしてみると、この当たり前の理屈がよく分かるだろう。コミュニケーションで最も重要なのは、相手の顔を見て会話をすることだ。

 大人ならこの応用編として、ナビは使わず、地図帳だけを頼りに初めての場所へドライブするということに挑戦してみてもいい。ただし、それに夢中になって事故を起こしては意味がないので、2人以上で運転と地図を見る役目を交代しながら実践してみよう。夜の山道がいかに危険か、民家のない星空がいかにすばらしいか――ぜひチャレンジしてはいかがだろうか。

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