同社は、配布するiPadで機密の技術書類を閲覧するために適する方向を、特に「高いセキュリティ」と「使いやすさ」の2点を要件に検討し、インフォテリアのコンテンツ管理システム「Handbook」を選定した。
Handbookは、管理者がクラウド上にデータを登録し、利用者に向けて一元的に配信できるシステムだ。高度なアクセスコントロール機能、(クライアントへの)ダウンロード制限管理機能などを備え、使いやすさとセキュリティを両立した仕組みを容易に迅速に実現できることが決め手になった。事前に一部の現場工事担当者に試してもらった際にも、特別な教育が必要なく、すぐに使いはじめてもらうことができたという。
また、HandbookのIPアドレス制限と社内VPNインフラによって、会社が配布したデバイス以外からのアクセスを禁止し、別途コンテンツのダウンロードや転送にも制限をかけるといった、セキュリティ管理体制も同時に整備できた。
まず、確認のために現場内を何度も往復する必要がなくなった。技術書類は量が膨大なため、ベテランでもすべてを記憶することは難しい。これをいつでもすぐに確認できる環境が整ったことは、建築物の品質や工期を適正に管理する上で役立っている。
社外打ち合わせ時の効率向上も効果の1つだ。「社外の打ち合わせにiPadを持参すれば、技術書類を手元に置いて話し合うことができます。同様に、現場のどこにいても書類を確認できるようになったため、職人さんからの質問にもその場で答えられるようになりました。紙の書類では1式しかないので、誰かが使っている間は使えませんでした。現在はそうした不便も解消されています」(竹中工務店の森氏/同上)
今後、同じく現場事務所に保管している建築資材や機器のカタログ類の配布、社員研修資料の登録・活用など、他部門での利用も計画する。「これからも社内のニーズを吸い上げながら、さらに便利な使い方を模索します」(竹中工務店の森氏/同上)
製造や建設などの現場で必要なマニュアルや図面を紙から電子化できれば、コストダウンだけでなく、情報の運搬負担の削減や視認性や検索性のよさなどによる作業効率と業務品質の向上が、そして紙より理解度を高められるWeb技術や動画なども駆使することで、現場人員の知識や技術レベルを底上げできるといった、人手不足を補える効果も見込まれる。安全、確実、正確な現場管理とその成果物の実現、そして人件費や工費といったコスト面にも大きく寄与してきそうだ。
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