IDCが2015年国内クラウド調査の結果を発表。クラウドがIT戦略に及ぼす影響について企業に聞くと、既にクラウドを導入済みの企業とそうでない企業との間で大きな差が表れた。
IT専門調査会社IDC Japanが、国内クラウドサービス市場の需要動向に関する調査結果を発表した。このリポートは、4月に実施した「2015年国内クラウド調査」の結果を分析し、まとめたもので、過去に実施した「国内クラウド調査」の結果を参照しながら、ユーザー動向の経年変化を分析している。
同リポートは、クラウドを「よく理解している」「おおむね理解している」「何となく分かる」と回答した企業およそ3700社に、現在と2年後のIT戦略に与えるクラウドの影響について回答を求めたもの。現在の影響について、「強く影響する」「少し影響する」と回答した企業は全体の約4割で、2年後の影響については、その比率が約半数に増加している。
クラウドを利用している企業522社に現在の影響を聞くと、8割弱が「強く影響する」「少し影響する」と回答(「強く影響」35.6%、「少し影響」43.1%)。2年後はその比率が8割超(「強く影響」48.5%、「少し影響」31.6%)となり、「強く影響」するという回答が4割弱から5割弱に増えている。
この結果についてIDCは、実際のクラウド活用によってその価値を認識する企業が多いことを示していると分析。また、クラウド導入の目的については、先駆的な企業では「ITや業務の効率化」「事業強化」を同時に検証しているのに対して、一般的な企業は「効率化」のみ、あるいはソーシャルメディア/モバイル対応といった個別案件としての「事業強化」のみとなっていると指摘する。
IDCでは、今後、効率化にとどまらないクラウド活用を実践する企業が増加していくことを踏まえて、社会/企業活動のデジタル化に対応した「IT(クラウド)を使った事業強化」が重要になるとし、「業務の効率化」「事業拡大」の統合と連携を考慮したハイブリッドクラウドが、価値を創造する新たな基盤となると予測。ITベンダーに対しては、真のハイブリッドクラウドを実現するソリューションの整備が喫緊の課題としている。
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