日本とアジアのSNSはどう違う?  ASEANの学生たちに話を聞いてみた半径300メートルのIT(2/2 ページ)

» 2015年10月20日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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SNSやITの使い方は各国の文化が出る?

 当日、私は日本におけるSNS文化について少し話しました。個人的には日本のSNSの使い方は良くも悪くも特徴があると思っています。主にTwitterやLINEにおける文化、「パクツイ」「クソリプ」「裏アカ」「140文字で議論も可能な日本語文化」「スクリーンショットで長文投稿」などの話をしたところ、ASEANのとある国の事例として「嫌いな人のなりすましアカウントを作ってそこに文句を書き込む」とか、「渋滞のときに“前の車がうっとうしい”などのグチをすぐに書き込む」といった使い方の話があったり、「複数アカウントを作れるサービスは(なりすましアカウントが作れるので)荒れがち」といった声が聞けました。文化は違えど、SNSはどの国も課題を抱えているようです。

300mのIT 世界各国の学生たちといろいろなお話が聞けました(写真提供:内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター)

 そして話題は「日本にはフリーなWi-Fiが少ない」という話になります。海外からの旅行者が日本に来ると最初に困るのが通信手段、というのはよく聞く話です。これは日本が遅れているからというよりは、「Wi-Fiが普及しているというより、店舗で使ってるWi-Fiをそのまま利用させてくれることが多く、パスワードをそのまま教えてくれる」(川端氏)ということのようです。

 これは「セキュリティ意識が低い」というよりも、リスクと利便性のバランスが国ごとに違うということが原因でしょう。日本でそのようなことをすると、犯罪予告に使われたり盗聴をされたりと「リスク」の方が大きくなりますが、ASEAN諸国ではまだIT、スマートフォンが「お金や利益につながらない」と判断されていれば、この対応も分からなくはありません。

 ASEANという地域は、文化も経済水準も日本とは違います。その中で使われるスマートフォンや通信環境は同じでも、使われ方は大きく違うところ、まったく同じところそれぞれあるのだと理解できました。その中で、ある程度進んでさまざまな落とし穴を体験している日本の現状を世界に向け発信することは大きな意味があると感じました。今後ASEAN地域のスマートフォンでできることが広がって、直接「お金」に結びつき始めたとき、安全、安心な空間が保てるようになっていれば、セキュリティに携わるものとしてうれしいと思います。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

デジタルの作法 『デジタルの作法』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

筆者より:

2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。

これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。


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