VR(仮想現実)を“未来のプラットフォーム”とみるFacebookが、360度動画のファイルサイズ削減ツール「Transform」をオープンソースで公開した。同社はさらに、VR向けの高解像度360度動画のファイルサイズを最高80%削減する「ピラミッドフォーマット」も紹介した。
米Facebookは1月21日(現地時間)、360度動画のファイルサイズを削減するツール「Transform」をオープンソース(独自ライセンス)でGitHubで公開した。
Transformは、エクイレクタングラー(正距円筒図法)の360度動画をキューブマッピングに加工する動画フィルター。キューブマッピングは米AppleのQTVRなどでも採用された動画方式で、Facebookはこの加工でファイルサイズを約25%削減できるとしている。
Transformはオープンソースの動画・音声変換ソフト「FFmpeg」のプラグインとして使える。
Facebookは昨年9月からニュースフィード上の360度動画をサポートしている。ユーザーがTransformを利用してファイルサイズが比較的小さい動画を投稿するようになれば、Facebookのサーバの負担が少なくなり、再生のためのバッファ時間も減る。
Facebookは、キューブマッピングはファイルサイズの削減効果はあるが、VR(仮想現実)向けとしては品質が不十分だという。例えばSamsung ElectonicsのVR HMD「Gear VR」で快適に視聴するためにはHD動画の約20倍のファイルサイズが必要だ。だがこのサイズは配信には負担が大きすぎる。
そこでFacebookは、「pyramid-based」という新たなコーディングフォーマットを開発した。このエンコードでは、VR向き動画のサイズを最高で80%削減できるという。
Facebookは、アップロードされる360度動画を正距円筒図法からピラミッドフォーマットに変換し、1件の動画につき150の異なるバージョンを作成してサーバに保存する。こうすると大量のストレージ容量が必要になり、視点を変える際のレイテンシは高くなるが、アップロード側の負担は軽くなるとしている。
同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、VRあるいはAR(拡張現実)がモバイルの次の、未来のプラットフォームになると主張している。同社傘下のOculus VRは今月、VR HMD「Oculus Rift」の予約を開始した。
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