イベントに行けばたくさん情報収集できますよ―――「そんなこと知ってるよ!」「でも行けないんだよ!」という声が飛んできそうです。日本の情シス部門は「IT戦略本部」などと事業部門っぽい名前でも、実際のところはコストセンターであり、“内勤職”として扱われるのが一般的。このため、いざ外出しようとしても色々と準備が整っていないことがあります。例えば、PCがデスクトップ型だったり、ノートPCであっても外勤の営業マンと比べて社外持ち出しが非常に困難だったり。ITを駆使していそうですが、職種の壁から意外とそうでなかったりします。
加えて、閉鎖的なところもあるかもしれません。「オフィスに居るのが当たり前」だったり、オフィスでないと仕事ができないので「外出するのはサボリと同じとみなされる」「休暇を取らずにイベントに出向くのは大変」という話もよく耳にします。
たまたま元同僚で、ユーザー企業の情シスに転職した友人がいますが、「外出なんて滅多にない。周りの目が気になるし……」と言っていました。転職とともに人格まで変わってしまったのか、と驚きましたが、よくよく考えれば納得がいきます。一般企業にとってSEは特殊人材。バックオフィス部門と言っても、周りの事務方とはスキルセットが違いますので、他部署へ異動やジョブローテーションは非常に稀です。彼も言っていましたが、これからずっと同じメンバーと同じ上下関係で何十年も付き合っていくことになるので“関係を悪くしたくない”のだそうです。
こういった点でも、欧米とのギャップは感じるところです。
欧米企業もIT部門はバックオフィスであり、“コストセンター”を扱われるのが一般的ですが、働き方が少し違います。
1つは、ITを極限まで駆使すること。内勤職だからという理由でPCの持ち出しが困難になったり、外勤職と差がつくといったことはあまり見られません。
そして2つ目は、あまりオフィスに来ないことです。ITを駆使するので、サーバのメンテナンスも自宅や出先からVPN越しに対応できてしまいます。日本では携帯電話に呼び出しが掛かり、夜でもオフィスへ駆けつけている話をよく聞きますが、欧米ではSkypeのようなツールでチャットしながらPC画面を共有したり、そのまま相手のPCを遠隔操作するなど、リモート対応が一般的。ネットワークさえあればいつでもどこでも仕事ができるため、外出中にシステムトラブルがあっても出先で対応できる。したがって、連絡さえ取れればイベントに行くのも許されるのです。この習慣が広がるつれて、会社自体の就業規則も改訂され、より働きやすくなります。
日本も先進国。Skype的ツールの導入は拡大しています。ですが、先の理由もあってか、上述した元同僚は変わらず毎日オフィスに出社し、たまに夜も呼び出されるそうです。メーカーの在籍経験もあるためか、彼は「セミナーに行きたい。どんどん取り残されてる気がする」と本音を洩らしていました。
なかなか根は深そうですが、もしセミナーに行けるチャンスが来たら、最大限に生かしたいところ。どのようなセミナーに行くのが良いか、何時に行くと良いのか、ベンダー(出展社)側の視点も交えて次回お話したいと思います。
日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。
カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション
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