名刺交換だけも“ココヘン”がたくさん見つかる日本の名刺文化ですが、「職位」に焦点をあてると、さらにたくさん見つかります。今回は欧米人が不思議に感じる名刺に書かれた職位のココヘン”を探ってみます。
ビジネスマンの証である名刺―――。前回は、5対5の打ち合わせで25回の交換と50枚の名刺が飛び交う日本の状況や、持ち方・渡し方からしまい方まで“ビジネスマナー”とされている名刺交換について触れました。
今回は、そこまで丁重に扱われている名刺の“中身”を見てみましょう。読者の皆さんは、名刺を受け取ると、まずどこに着目しますか? 多くの人は「肩書き」でしょう。
名刺の肩書きは、欧米との違いにまではいかないにしても、日本だけでもたくさんの謎があります。「次長・課長」もそうですし、公共や自治体などで使われている「主幹・主査・主任・主事」、他に「参事・参与」なんかもあります。でも、室長は課長より上の立場でしょうか? それとも下でしょうか?
もちろん、この辺りはセールスマンの得意技です。相手から受け取った名刺をさっと並び替え、「○○様・△△様・××様、本日は貴重なお時間をいただきまして〜」と、お礼メールを書き始めます。
実はこれ、裏ワザです。名刺の「裏面」にヒントがあります。
読者の皆さんのところに出入りするIT系の会社は、他業種以上に名刺の裏面で英訳を記載していることが多いでしょう。“偉さ”にまつわる日本語の多彩な表現も、英語ではそれほど多くはありませんし、上下関係も明確です。「Director → General Manager → Manager → Assistant Manager」と覚えておけば、まず大丈夫。
「上級」を意味するGeneralをSeniorに置き換えたり、「副」を意味するAssistantをDeputyやViceに置き換えられたりもしますが、1つの会社でこれらの同義語が並んで使われることはまずありません。安心して大丈夫です。
ちなみに、Viceについては「Vice President」(VP)に注意するようにしてください。Presidentとあるので日本人の感覚では「副社長」と思いがちですが、欧米(特に米国)のVPは役員の1つか2つ手前のマネージャー職です。日本でいえば、部長・本部長に相当します。
他に似たようなケースを挙げると「Account Manager」「Account Executive」は管理職でも重役でもありません。これらは(顧客担当)営業のことを指します。Project Managerが管理者であって管理職でないのと同じようなものでしょう。
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