第39回 IT系イベントの裏話 欧米とのギャップから知るおトクな活用術テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(2/2 ページ)

» 2016年03月04日 07時00分 公開
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欧米と日本ではメインイベントの開催日が異なる

 (1)や(2)といったような、数千人・数万人イベントになると、2日間や3日間の開催になるのが一般的です。地方から泊まりがけで参加している場合、多くは研修名目ですので連日参加されるかと思いますが、そうでない方はいずれか1日のみの参加かと思います。では、いつが良いでしょうか。

 実はコレ、日本と欧米とで結構異なる“ここ変”です。

 まず、日本で連日にわたるイベントを開催する場合、最終日は概ね金曜日です。つまり、2日間であれば木・金、3日間であれば水・木・金の開催になります。その中で、最も集客が見込めるのは「金曜日の午後」です。これは予想し得るとおりで、金曜日の午後であれば比較的外出しやすく、そのまま直帰できる・飲み行けると考える人が多いと言われています。

 となると、主催者やスポンサーは最も人の入りが多くなる金曜日の午後のセッション枠を獲得したいところ。例えば、もし私の会社がその枠を勝ち取った場合、本国のディレクターやバイスプレジデント級の、大部屋に相応しい“エグゼクティブ外国人”をスピーカーとして調整します。そのお偉い人に「金曜日の午後に講演お願いします」と伝えるわけですが、「バカにしてるのか!」と怒鳴られるのです。

 欧米では、最も集客が望め、最も格式高いセッション枠は「初日の朝」の基調講演です。これは日本とは反対な現象と言えます。欧米のサラリーマンは朝に強い・外出しやすい・残業しない、と日本のわれわれとは大きくワークスタイルが異なるためでしょう。最終日の午後なんて最も集客の望めない枠とされています。

ここヘン 欧米のイベントと日本のイベントの集客傾向

セッション後は積極的に質問してみよう

 最後に、セッションを聴講する中で、分からないことや詳しく教えてほしいことがあれば、ぜひ、セッション終了後に質問してください。以前も書きましたが、セミナーは優秀なプリセールスやコンサルタントと無償で会話ができる、とてもお買い得な機会です。

 例えば、プロフェッショナルサービスに在籍する講師などは、きちんと契約して相談すると1時間あたり2万円といった、夜の街でもなかなか見られないコンサルフィーですが、セミナー後に声を掛けるのはタダです。通常は自分の名前も会社名も名乗る必要はないですし、継続的に付き合っていくわけでもありませんので、無知を恥じることも一切ありません。私もそうなのですが、講演後は“達成感”でテンションが上がっていることも多く、質問してくれるとこちらも親身に対応したくなります。

 欧米人などは、講演中に突然大声で質問したりしますが、無理してそれを真似る必要はありません。講演終了後で十分です。

 また、最近は日本のイベントでも「セッション講師への質問コーナー」という形で、講演終了後30〜60分くらい講師が質問を受け付けるといった試みがなされるようになりました。これはぜひ上手く使いましょう。講師側も、質問ブースに立っていながら誰も来ないというのは寂しく、時間が長く感じるものです。

 日本の情シス担当者は、セミナー受講のために外出するはなかなか難しい。だからこそ、せっかくのチャンスをぜひ有効に使っていただきたいのです。

ここヘン 講演後は皆ハイテンション。下らないことでも思い切って質問してみましょう!

小川大地(おがわ・だいち)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション


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