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» 2016年06月01日 08時00分 公開

第23回 非Linux環境のDocker、プレステも採用する“あのOS”で動かす意味古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」(3/4 ページ)

[古賀政純(日本ヒューレット・パッカード),ITmedia]

仮想化やDockerが使えない前世紀 サーバOSの使い方とは?

 少し視点を変えて、筆者が学生だった1990年代のお話です。当時の筆者は、大学の計算機室でUNIXのワークステーション(NEC EWS4800シリーズ)を使っていました。しかし、計算機室は夕方までしか空いておらず、限られた時間で授業の課題だったC言語やFORTRANによるシミュレーション、アセンブラのプログラミングのレポートなどを作成する必要がありました。そのため、なんとか自宅のPCを大学のUNIX環境と同様の環境に仕立て上げ、授業の課題を自宅でじっくり取り組みたかったのです。その時に初めて出会ったサーバOS(兼ワークステーションOS)が、FreeBSDでした。

 そこで筆者は、人生初の「サーバOS(兼ワークステーションOS)導入計画」を立てます。導入計画といっても自宅のPCに関する計画ですので、工程表はなく、工数も全く考慮していませんが、当時の筆者が考えた「異種OS混在環境の構築計画」のワークフローは以下の通りです。

  • 工程1:(当時における)FreeBSDの問題点、課題、実現可能な機能を調査する
  • 工程2:プリインストールされたWindows 95を完全に削除する
  • 工程3:安定版のFreeBSDをインストールする
  • 工程4:FreeBSDのカーネルを再構築する(周辺機器を利用するため)
  • 工程5:FreeBSDを大学のUNIX環境と同様の環境に仕立て上げる(アプリ環境構築)
  • 工程6:余ったHDDの空き領域にWindows 95を入れ、FreeBSDと両方起動できるようにする
  • 工程7:NTTの電話回線経由でインターネットに接続できるように設定する(FreeBSD、Windows 95両方)
  • 工程8:Windows 95の環境をプリインストール時の状態に近づける

 最初は大学のUNIX環境に比べて、「FreeBSDって使えるまでにとても手間がかかるなぁ」と思いましたが、自宅のPCで大学の商用UNIX環境と同様の操作ができ、コンパイラなどの開発環境、日本語や数式を交えた論文作成のための文書組版、お絵かきソフト、音楽・動画再生、Webブラウザなどが全て使えるようになった時の感動は、いまでも鮮明に覚えています。そんなノスタルジー感漂うFreeBSDを、いまや会社・自宅のHPE ProLiantサーバにインストールし、サーバOSとして使っています。また、筆者のお客様もHPE ProLiantサーバシステムにFreeBSDをインストールし、普通に業務で使われています。

 しかし、1990年代当時はx86マシンで稼働するハイパーバイザ型の仮想化ソフトがまだ産声をあげる前であり、ましてや、Dockerのようなコンテナ管理ツールは「無の状態」でした。現在のようなDocker環境による高速なマルチOSのヘテロ(異種混在)環境を1台の物理マシンで手に入れるためには、HDDをFreeBSDの領域、Linuxの領域、Windowsの領域に分割し、トリプルブートにする必要がありました。しかも、Dockerや仮想化基盤のように、OSを再起動せずにヘテロなOS環境を同時に利用しようとすると、複数の物理マシンを用意せざるを得ません。メンテナンス工数の増大に加え、電気代も非常にかかります。すなわち、仮想化やDockerのような「ヘテロOS同時利用」を実現しようとすると、メンテナンス工数と電気代との戦いが待ち受けていたのが当時の状況だったのです。

当時の一般的なヘテロOS環境(1990年代〜2000年代前半)。1990年代のPC環境ではデュアルブートやトリプルブートが主流だった。サーバシステムでは、OSごとに物理サーバを用意していた
仮想化技術が台頭し始めた時代(2000年代中頃〜)。ハイパーバイザ型の仮想化専用OS(仮想化ソフト)が登場し、ヘテロOS環境を物理的に集約することが盛んに行われた

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