昨今の人工知能の急速な発展を可能にした3つのブレークスルー「アルゴリズムの革新」「計算能力の飛躍的向上」「ビッグデータの利用」について、歴史的背景を追いつつ、詳しく見ていきましょう。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
1956年、米国のダートマスに研究者たちが集まり、「やがて人間の知能は機械でシミュレーションできるようになる」との考えを提唱、これを“Artificial Intelligence(人工知能)”と名付けました。人工知能は、この理想を実現できないまま、幾度かの挫折を経て現在に至っています。
しかし、ここ数年「この理想は実現できるのではないか」との期待が急速に膨らみはじめています。その背景には、「アルゴリズムの革新」「計算能力の飛躍的向上」「ビッグデータの利用」があります。
かつて人工知能は、膨大な知識やルールを人間が全て教える必要がありました。人間が教えるための知識を集め、ルールを記述しなくてはなりませんでした。教えるべき知識は膨大です。そのため、このやり方はやがて限界に突き当たりました。そしてこの限界を突破するやり方が登場しました。それが、コンピュータが大量のデータから勝手に知識を整理しルールを見つけ出してくれる「機械学習」です。
機械学習の中でも昨今特に注目されているのが、「ディープラーニング(Deep Learning:深層学習)」です。この技術は、脳科学の研究成果を踏まえ、人間が脳の中で行っている学習の仕組みを参考に作られた機械学習のアルゴリズム(計算や問題を解決するための手順や方式)です。
ディープラーニング以前は、ものごとを分類するためのやり方や着眼点(特徴量)を人間が与え、大量のデータからその特徴量に従って分類するやり方が使われていました。しかし、ディープラーニングは、その特徴量を大量のデータから自ら見つけ出すことができるようになり、画像認識や音声認識といった特定の知的作業では人間の能力をしのぐまでになっています。囲碁の世界チャンピオンに勝った人工知能「Alpha Go」も、この技術を応用したものです。
この技術の登場により、人工知能は実用レベルが高まり、適用の幅、可能性が大きく広がっています。
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