NPO法人の企業教育研究会と日本IBMが、中高生向けにIoTを体験してもらう授業プログラムを開発。実際にアプリを開発してもらうことで、自分のアイデアが社会を変える可能性があるというメッセージを伝える狙いがあるという。
IT、ビジネス業界のメガトレンドとして、ここ数年話題にわたって大きな注目を集めているIoT(Internet of Things)。社会に大きな影響を与えるトレンドであることから、学校教育でIoTを扱う動きも出てきている。
NPO法人の企業教育研究会と日本IBMは9月14日、中学・高校生向けにIoTを題材とした授業プログラムを開発したと発表した。企業教育研究会は、千葉大学教育学部、静岡大学教育学部、兵庫県立大学を基盤に活動するNPO。
同研究会 理事長の藤川大祐さんは「自分たちの生活や社会に関わるトレンドとして、ちゃんとIoTと向き合って教えている教育機関は少ない。刻々と変化する今の世の中では、今の技術とともに近未来を見据えた教育が必要だ」と話す。
同プログラムは50分の授業2回分で完結する。まずは、IoTについて実体験を踏まえて説明した後、IBMの開発ツールBluemixを使ってアプリケーションを開発する。その後、自らが作ったサービスを発表しつつ、それがどのように社会に生かせるのかを議論する。簡単に言うと、アイデアソンとハッカソンを組み合わせたようなカリキュラムといえる。
同日行われた記者発表会では、授業のデモも披露された。ITについて基礎知識がない高校生に、いきなりIoTを理解してもらうのは難しいことから、授業の冒頭には、IoTへの導入として、プロジェクターで映した画面にナビゲーターの「アイコ」が登場する。
デモでは、アイコは生徒(今回は発表会に出席した記者だが)の声に反応したり、黒板消しを手に取ると手を振ってくれたりと、さまざまなアクションをしてくれた。実は黒板消しの中に加速度センサーが入っており、その数値を分析して反応を返すという仕掛けで、一通り生徒が盛り上がったところで、この動きが教室内に仕込んだ、さまざまなセンサーのはたらきによるものだと説明するそうだ。
「過去に行った授業の経験から、学習にストーリーを結び付けると理解が深まるということが分かっていました。黒板消しにセンサーを仕込むなど、教室をハックするようなイメージですが、『知らず知らずのうちにIoTを体験する』ことを目指しており、教室内にあるものを使うのがいいということなりました」(同研究会 和田翔太さん)
この授業は、既に東京都練馬区内にある高校でトライアルを行っており、学生からIoTを使ったさまざまなアイデアが出たという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.