ソフトウェア提供に徹するVMware、クラウド事業の勝算はWeekly Memo(1/2 ページ)

VMwareが新たなクラウド事業戦略を展開し始めた。先週来日した同社のパット・ゲルシンガーCEOが記者会見で語った内容から、新戦略の狙いや勝算を探った。

» 2016年11月14日 12時20分 公開
[松岡功ITmedia]
Photo 記者会見に臨む米VMwareのパット・ゲルシンガーCEO

 「VMwareはこれまでサーバをはじめとした“ハードウェアの自由度”を提供してきた。これからはさらに“クラウドの自由度”を提供していきたい」――。米VMwareのパット・ゲルシンガーCEOは11月7日、同社日本法人のヴイエムウェアが同氏の来日に伴って開いた記者会見でこう語った。

 VMwareの新たなクラウド事業戦略における、このキーメッセージは何を意味するのか。同氏の話をひもといていこう。

2030年にはワークロードの過半数がパブリッククラウドに

 VMwareの新戦略は、2016年8月に米国で開かれた「VMworld 2016」で発表されたが、ゲルシンガー氏がその内容を日本で説明するのは今回が初めてとなる。

 同氏はまず内部での調査結果から、世界のITワークロード数とクラウド利用率の推移について説明した。それによると、2006年では2900万ワークロードに対し、パブリッククラウドが2%、プライベートクラウドは0%の利用率だったが、2011年では8000万ワークロードに対し、パブリッククラウドが7%、プライベートクラウドも6%になった。

 そして現在の2016年では、ワークロード数が1億6000万に達し、クラウド利用率はパブリックが15%、プライベートも12%と2011年の2倍に達した。それが2021年には、2億5500万ワークロードで、パブリッククラウドが30%(このうちIaaSは16%)、プライベートクラウドも20%になるという。

 さらに、2030年には5億9600万ワークロードに対し、プライベートクラウドが29%となり、パブリッククラウドは52%と半数を超えると予測している。

 加えて、同氏はクラウドを支えるデータセンターの構築・運用をどこが行うかについての経年変化を表した図を示し、「データセンターの新規構築数において、2016年にサービスプロバイダーが自社(企業内)を上回る」と説明した。

Photo 図1 自社(企業内)およびサービスプロバイダーにおけるデータセンターの新規構築数の推移

 同氏はこの変化について、「これまで自社内で構築・運用するケースが多かったプライベートクラウドが、今後はサービスプロバイダーに委ねるケースが増えていくことを意味している。プライベートクラウドの利用形態の変化を表すこの動きは非常に重要で、2016年がまさにその転換点になる」と語った。

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