ヴイエムウェア、VDIを高速にする機能強化 新たなDaaSも

「VMware Horizon」の最新版では仮想デスクトップ環境の展開や配信を高速化する機能強化を図った。4月から新たなDaaS「Horizon Cloud」も提供する。

» 2017年02月08日 18時42分 公開
[國谷武史ITmedia]

 ヴイエムウェアは2月8日、仮想デスクトップ基盤(VDI)ソフトウェアの最新版「VMware Horizon 7.1」と、新たな仮想デスクトップのクラウドサービス(Desktop as a Service=DaaS)となる「VMware Horizon Cloud」を発表した。4月から提供する。

 同社マーケティング本部 シニア プロダクト マーケティング マネージャの本田豊氏によると、Horizon 7.1では仮想デスクトップ環境を導入展開するための作業の省力化や時間の短縮、エンドユーザーの利用環境に応じたポリシー管理を可能にするための機能強化を図ったという。

 具体的には、VMware vSphereで導入している「Instant Clone」(稼働中の仮想マシンをメモリ上で高速に複製する技術)をベースにした「Instant Clones」を採用する。また、アプリケーションをリアルタイムに配信することで、アップデートなどが柔軟に行える「APP Volumes」や、エンドユーザーのプロファイルに基づいて利用環境に合わせた仮想デスクトップ環境を提供する「User Environment Manager」などの機能を搭載。同社ではこれらを総称して「Just In Time Platform」(JMP)と呼んでいる。

VMware Horizon 7.1の特徴を実現するというJMP

 また、仮想デスクトップ環境のエンドユーザーへの画面転送で従来のRDPやTCP/IPに加えて、新開発の「Blast Extreme Adaptive Transport」(BEAT)というプロトコルに対応した。同社の検証では仮想デスクトップ環境のイメージ作成に要する時間が30分の1に短縮され、BEATについては6倍の高速化と使用帯域幅の50%削減が可能になるという。

新開発のBEATプロトコルは、特に動画や3Dデータの円滑な再生に強みがあるという

 この他に、新製品として「VMware Horizon Apps」も追加する。本田氏によれば、Horizonのサブセットに当たり、複数ユーザーで特定のアプリケーションを共有している環境などで効率的な配信や管理を可能にするという。

 VMware Horizon Cloudは、IBMのIaaS「SoftLayer」を利用してヴイエムウェアが提供するDaaSのパブリッククラウドサービス。有期の契約社員などに仮想デスクトップ環境を用意したいといった企業ニーズに対応するもので、EMCやDell、日立などのハイパーコンバージドインフラ(HCI)システムで稼働するオンプレミスのVDIと統合的に運用できるのが特徴だとしている。

新DaaSのHorizon Cloudは、仮想デスクトップのハイブリッド運用を特徴に掲げている

 同社は既にDaaSの「Horizon Air Desktops」を提供しているが、今後もサービス提供は継続する。新たなHorizon Cloudは、IBMデータセンターでの対応状況に合わせて提供地域を拡大し、4月のサービス開始時は日本や北米で利用できるという。

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