「定義された数字」をベースに、ユーザー心理の仮説を作ることの大切さについて、まずは、私の個人的な体験談を紹介しましょう。
ある商材を紹介するブランドサイトを分析した結果、全体での直帰率は70%を超えていましたが、商品名を含むキーワードで流入があった場合は直帰率が30%だったことが分かりました。そのことを広告主に報告すると、オフラインがメインのマーケターから「なぜ直帰率が0%じゃないのか?」と質問されました。
「商材を含むキーワードで流入しているってことは、商品を買うつもりでリアル店舗に足を向けたのに、何も買わずに去ったのと同じでしょ? それが今、私たちのWebサイトで起きているんですよね? 私たちは顧客の何を裏切っているんですか。あなたの考察からはそれが分かりません」
こう言われて、ハッとしたことを今でもよく覚えています。性別、年齢、嗜好――さまざまな層別にユーザーを分類して、傾向を導くまではDMPを使えば可能です。だからこそ、計測されたデータで表現される指標を見て、顧客の心理まで「分かったつもり」になっていたのです。
大切なことは、データによる裏付けと、(たとえマーケターによる主観であったとしても)仮説を持って、数字で表現されない世界も含めて“隠れた”心理に目を向けることです。「仮説が思い浮かばない」というのは、定義されたデータに慣れてしまって、数字で表現されない世界にまで考えが巡らないからなのかもしれません。
ちなみに、その後は検索クエリを1つ1つ目視して「ユーザーは何を期待してWebサイトに流入したのか?」について仮説を立て、ランディングページやコンテンツの改善に役立てました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.