外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回からは、ソフトウェア利用の長き道のりである「運用」についてのお話をします。あなたは障害が起こったとき、メーカーへの問い合わせで苦労したことはありませんか?
IT運用の業務を経験したことがある人なら、誰もが一度は、運用で使用するソフトウェアについてメーカーに問い合わせたことがあると思います。問い合わせの種類はさまざまかと思いますが、特に障害が発生したときの連絡はトラブルになりやすいものです。
今回の記事では、ソフトウェアの保守窓口とやりとりするケースを例に、運用が始まってから生じる、よくある誤解や失敗例を紹介したいと思います。
ソフトウェアのサポート窓口 A:はい、こちらはXXソフトウェアのサポート窓口です。ご用件をお聞かせいただけますか。
ソフトウェアの運用担当者 B:現在弊社のデータセンターで使用しているXXですが、動作が不安定で、応答がない状態が続いています。弊社の業務に一部影響が出ているため、早急に解決したいのですが。
A:承知いたしました。それではまず、ソフトウェアの再起動をお願いします。それでも状況が変わらない場合は、サーバの再起動を実施してもらえますでしょうか。
B:ソフトウェアの再起動は既に試みており、それでも状況は変わりませんでした。サーバを再起動するとなると、他に稼働しているソフトウェアもあるため、再起動するために関係部署への説明が必要です。原因は何でしょう。
A:原因については、ソフトウェアのログなど解析をしないと分かりかねる状況ですが、お使いのOSのバージョンで、過去に同様の対処で復旧した例が見つかっています。ぜひ実施してもらえないでしょうか。
B:それで復旧する保証はありますか。まだ原因もはっきりしてないですよね。
A:先ほど申し上げた通り、ソフトウェアの状態やログを解析しておりませんので、この対処で復旧するとは保証できません。お使いのOSバージョンで、過去事例があるので、1つの可能性としてご検討いただけないでしょうか。
B:原因が不明な状態で対処したとあっては、復旧に失敗したときに関係者や上長に責任を追及されてしまいます。至急、原因の調査にご協力いただけないでしょうか。原因が判明しないことには、ご提案の対処を実施することはできません。
A:(まずは復旧が優先だと思うのだけど……)承知しました。それでは、現在のソフトウェアの状態を収集するコマンドとログの格納場所をお伝えしますので、そちらを一式送っていただけませんでしょうか。
こちらはありがちな事例を多少デフォルメした内容ではありますが、このままだと、原因が判明するまで障害は復旧せず、より大きな問題に発展しそうです。運用担当者もサポート窓口の担当者も、どちらも「障害を解決したい」という目的は一致しているのですが、そのアプローチに大きな差があります。
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