こうした数々のAI技術を導入することで、大多氏は現場の負担が大きく減るのではないかと予想している。
「DREAM FACTORYは2017年1月に始まったばかりで、まだ動画数も少ないが、今後動画が増えれば、著作権を侵害している動画のチェックなど、人間の手作業では間に合わない管理業務が出てくるだろう。そういったところをAIが手伝ってくれるようになるといい。
特に動画のサマライズ機能には驚いた。短い予告動画の作成は、テレビ局のアシスタントディレクター(AD)にとってセンスが問われる関門。私が若いころ、30秒ほどの動画のために5時間をかけてしまい『そんなに時間をかけるな』と怒られたことがある。サマライズ機能があれば、ADの仕事が楽になるはず」(大多氏)
字幕を入れるのには、動画時間とほぼ同じくらいの時間がかかるとのことだが、「CPUやGPUなどコンピューティングパワーが上がれば、もっと時間は短くなる」(日本マイクロソフト)という。
フジテレビはDREAM FACTORYを“新たなパフォーマーやクリエーターの発掘の場”として位置付けており、「今後1〜2年をめどに、1カ月あたりの動画投稿1万本、視聴者数100万人、動画再生回数1000万回を目指す」(フジテレビ)とのこと。「テレビはスターを輩出する力がある。DREAM FACTORYから世界に羽ばたくスターを作りたい。彼らにフジテレビの番組に出てもらう構想もある」(大多氏)
一方の日本マイクロソフトも、フジテレビと組む大きなメリットがある。膨大な映像データを使えるようになることで、画像(動画)や日本語の認識精度を高められることだ。日本マイクロソフトの平野拓也社長は「提携することで誤認識率の低減など、AIの精度向上を見込める。もちろん、これらのサービスは一視聴者としても楽しみ」と語った。
AI分野については、「さまざまな企業が実証実験を行っている段階」と日本マイクロソフト。ユーザー企業が生のデータを提供し、ベンダーがその対価にサービス開発に協力するという動きは、今後も加速していくだろう。
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