AIで映像制作に「革命」が起きる――フジテレビとマイクロソフトが連携、その狙いは?(2/2 ページ)

» 2017年03月30日 09時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]
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 こうした数々のAI技術を導入することで、大多氏は現場の負担が大きく減るのではないかと予想している。

 「DREAM FACTORYは2017年1月に始まったばかりで、まだ動画数も少ないが、今後動画が増えれば、著作権を侵害している動画のチェックなど、人間の手作業では間に合わない管理業務が出てくるだろう。そういったところをAIが手伝ってくれるようになるといい。

 特に動画のサマライズ機能には驚いた。短い予告動画の作成は、テレビ局のアシスタントディレクター(AD)にとってセンスが問われる関門。私が若いころ、30秒ほどの動画のために5時間をかけてしまい『そんなに時間をかけるな』と怒られたことがある。サマライズ機能があれば、ADの仕事が楽になるはず」(大多氏)

 字幕を入れるのには、動画時間とほぼ同じくらいの時間がかかるとのことだが、「CPUやGPUなどコンピューティングパワーが上がれば、もっと時間は短くなる」(日本マイクロソフト)という。

photo 動画に英語の字幕を自動翻訳で入れることができる
photo せりふが全て検索できるため、特定の単語が出てくるシーンを抽出することも可能
photo 顔認証で特定の人物にモザイクをかけることも可能だ。「テレビ業界的にはありがたい機能」と大多氏

フジテレビはスター発掘のために、マイクロソフトはAI進化のために

 フジテレビはDREAM FACTORYを“新たなパフォーマーやクリエーターの発掘の場”として位置付けており、「今後1〜2年をめどに、1カ月あたりの動画投稿1万本、視聴者数100万人、動画再生回数1000万回を目指す」(フジテレビ)とのこと。「テレビはスターを輩出する力がある。DREAM FACTORYから世界に羽ばたくスターを作りたい。彼らにフジテレビの番組に出てもらう構想もある」(大多氏)

 一方の日本マイクロソフトも、フジテレビと組む大きなメリットがある。膨大な映像データを使えるようになることで、画像(動画)や日本語の認識精度を高められることだ。日本マイクロソフトの平野拓也社長は「提携することで誤認識率の低減など、AIの精度向上を見込める。もちろん、これらのサービスは一視聴者としても楽しみ」と語った。

 AI分野については、「さまざまな企業が実証実験を行っている段階」と日本マイクロソフト。ユーザー企業が生のデータを提供し、ベンダーがその対価にサービス開発に協力するという動きは、今後も加速していくだろう。

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