企業向けクラウドへ本格攻勢、Googleの強みと課題とはWeekly Memo(1/2 ページ)

Googleが企業向けクラウド事業で本格攻勢をかけている。果たして、この分野で先行するAWSやMicrosoftを追撃することができるか。Googleの強みと課題とは――。

» 2017年04月03日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

企業向けクラウド強化へ100を超える新機能などを発表

 Googleが企業向けクラウドサービスを大幅に強化した。3月8〜10日(米国時間)に開催した「Google Cloud NEXT 2017」で、SAPとの提携をはじめ、新しい機能やサービス、新規の顧客やパートナーとの協業、設備の増強など100を超える発表を行った。

 ただ、この分野のインフラサービスではAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftが先行しており、Googleはこれら競合を追撃する立ち位置だ。果たして、企業ユーザーにどのような価値を提供していくのか。そして企業向けビジネスをどう展開して競合を打ち負かそうと考えているのか。

 今回の100を超える発表は、そうした疑問へのGoogleの回答といえる。その内容のポイントについて、同社の日本法人であるグーグルが3月29日に記者説明会を開いた。100を超える発表の全容については、グーグルの公式ブログをご覧いただくとして、ここでは記者説明会で聞いたGoogle Cloudの現状を示す基本的な話をもとに、筆者が興味深く感じた点を挙げておきたい。

Photo グーグルの山本圭Google Cloudパートナービジネスマネージャ

 説明に立ったグーグルの山本圭Google Cloudパートナービジネスマネージャがまず強調したのは、SAP、Accenture、Intel、PwCといった企業向けビジネスに強みを持つパートナーとの協業が進んだことである。さらに同氏は、「今回のNEXTイベントでは100社を超えるパートナーがブースを出展し、それぞれにGoogle Cloudを活用したソリューションを打ち出していた」と語った。

 また、新規顧客として図1に示した企業を紹介。山本氏は「ここにきて顧客層が新興企業からエンタープライズクラスの企業へと広がってきている」とし、図1の中でHSBCを取り上げて、「例えば、世界最大級の金融機関であるHSBCでは、自らが保有するデータを活用して新たな価値を生み出すべく、私どものクラウドを利用していただいている」と説明した。

Photo 図1 Google Cloudの新規顧客

 ちなみに、Google CloudはGoogleが展開する企業向けクラウド事業において、インフラからアプリケーションまで全ての関連サービスを統合したブランド名である。その中で、AWSやMicrosoftのインフラサービスと競合しているのが「Google Cloud Platform(GCP)」である。

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