Surfaceファミリーに息づく日本の“モノづくり精神”Microsoft Focus(2/2 ページ)

» 2017年06月03日 09時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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 特に大きな進化を感じるのが、ペン入力時の使い勝手だ。「Surface Pen」では、4096段階の筆圧感知機能や傾き検知機能による高い精度と、レイテンシを21ミリ秒まで縮めた応答速度により、これまで以上にスムーズに線や文字を書ける。また、筆圧や角度に合わせて線の太さが変わるなど、まさに本物のペンのように使えるのだ。

 そして、165度という角度にまで倒せるようにしたのも、ペン入力をスムーズに行うための工夫だ。この角度は、Surface Studioの経験を生かしたもので、「Studioモード」と呼ばれている。実際には、Surface Studioの150度に比べるともう少し傾いているが、「これは意図的なもの」と、パネイ氏は説明する。

 「ディスプレイサイズがSurface Studioよりも小さいSurface Proで、ディスプレイ上に手を置きながら書いた場合に最も書きやすい角度を求めた結果だ」(パネイ氏)

 この角度を実現するために新たにヒンジを開発しており、この部分だけでも、カスタマイズした20種類の部品を使っているという。

 パネイ氏は、「新たなSurface Proは、Microsoftにとって、最高のパフォーマンスを持つ最高の製品に仕上がった」と自信をみせる。

 その自信は製品名にも込められている。新たなSurface Proは、順当にいけば、「Surface Pro 5」という名称が付くはずだった。だが、新製品にはそのナンバーが付かなかった。

 「Surface Proで、ナンバーが付与されてきたのは、世代ごとに機能や性能が進化してきたことを示したものだったが、今回のSurface Proは、われわれが完璧さを追求してきた結果、誕生したデバイス。Surface Proの決定打であり、それを総称する名称としてナンバーを付けずに、Surface Proと呼ぶことにした。ここまで作り上げることができなかったら、Surface Pro 5という名称を付けていたかもしれない。それだけの自信を持った製品に仕上がっている」(パネイ氏)

 見た目の変化は少ないが、その進化と完成度は過去最高のものというわけだ。

日本の“モノづくり魂”をSurfaceファミリーに継承

 今回、日本でもついに全てのSurfaceファミリー製品が投入されることになった。パネイ氏は、「プレミアム領域におけるフルラインアップを整えることができ、顧客に選択肢を与えるためのポートフォリオが『完全』にそろった」と語る。フルラインアップや完全という表現を用いるところに、5年をかけて目指してきたSurfaceファミリーの1つの完成形がこの姿であることを示しているといえよう。

 実は、パネイ氏は、日本の企業に務めていたことがある。2004年に米Microsoftに入社するまでの5年間、ミネベア(現ミネベアミツミ)の米国子会社であるNMB Technologies(旧Nippon Miniature Bearing Corpration)で働いていたのだ。

 「私が、日本の企業に在籍していたときに感じたのは、日本のエンジニアが日々行う仕事の仕方や、モノづくりに対する姿勢が、世界最高水準のものであるということだった。私は、それをMicrosoftのエンジニアたちにも継承した。いまのSurfaceの設計者、開発者の職人芸ともいえるこだわりには、日本のエンジニアの姿勢に通じるものを感じる。つまり、Surfaceのモノづくりには、日本のモノづくりのこだわりが反映されている」(パネイ氏)

 Surface LaptopやSurface Studioのディテールの仕上げなどを例に挙げながら、「これを見ると、日本人の設計エンジニアたちが完璧に仕上げることに情熱を賭けていたことを思い出す」と振り返る。日本人が追求する緻密なディテールの仕上がりが、Surfaceファミリーに生かされているというわけだ。

 「だからこそ、日本人がSurfaceを見ると、これがプレミアム分野の製品であると直感的に分かってもらえる。日本のユーザーは、そうした点を評価する人たちである。日本でSurfaceが受け入れられている理由はそこにある」(パネイ氏)

 Surfaceの技術を統括するパネイ氏の存在は、Surfaceの製品化に日本のモノづくりの姿勢が反映することにつながっている。

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