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» 2017年06月08日 11時00分 公開

Mostly Harmless:AlexaがSiriを抜き去った理由 (2/2)

[大越章司,ITmedia]
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徹底したこだわりと「Skill」でSiriを抜き去ったAlexa

 Amazonのジェフ・ベゾス氏は、Echoをリリースするに当たって、応答時間を当初の3秒から1秒に短縮させるなど、使い勝手に徹底的にこだわったそうです。ベゾス氏は、ジョブズ氏並みの完璧主義者といわれており、それはジョブズ氏がiPhoneの開発時にタッチのレスポンスや挙動に徹底的にこだわった話と重なります。

 Echoはまだ日本で販売されていないので、その成果はビデオなどで見るしかないのですが、これだけ売れているということは、かなり精度や使い勝手が良いのではないかと思います。早く日本でも出してほしいですね。

 対してSiriは、先行していたにもかかわらず、先行者利益を生かせなかった格好です。やはりジョブズ氏の不在が大きいのかな、とも思ってしまいますね。エンドユーザーは妥協に敏感です。そういえば、日本のガラケー全盛期にも、UIの「サクサク感」が最も重視されていたことを思い出します。

 Alexaにも、AppleのHomekitと同様の「Alexa Skill Kit(ASK)」というプラットフォームが用意されています。Echoが大成功したため、Alexaに対応した機器やサービスは爆発的に増えています。ASKを使うことで、さまざまな企業がAlexaの機能を使ったサービスを簡単に作れるわけです。

 私は、このASKで使われる「Skill」というアドオンが、Alexa成功のもう1つの要因だと思っています。この記事にあるように、「ドミノピザの開発したSkilによってAlexaがピザを注文したり、UberのSkillによってAlexaが配車サービスを手配したり」できるということで、Skillの数が増えているのです。

 こういった特定の目的を持った小さなサービスは、やりたいことが分かっているため、誤認識や見当違いの回答を少なくすることができると考えられます。まさにこの点が、Alexaの利便性を高める結果になっているのではないでしょうか。対してSiriは、さまざまなことに対応できる汎用(はんよう)的な音声アシスタントを目指したため、逆に見当違いの回答を繰り返したりして、信頼を失っていったと見ることもできます。

 こうしたエコシステムが拡大していくことで、利便性や有用性がどんどん高まっていきます。

 この分野では、Googleも既に「Google Home」を出しています。AppleはようやくHomePodで参入、さらにMicrosoftも「Cortana」を搭載したスピーカー「Invoke」を2017年秋に出す予定となっています。先行するAmazon Echoにどこまで迫れるか、に注目が集まります。家庭・車内用の音声認識AIデバイスでプラットフォームを握ることができれば、巨大な市場を手に入れることができるでしょう。

ALTALT Google Home(左)、Microsoft Invoke(右)

 ただ、AppleのHomePodは、英語圏での発売が2017年12月ということで、その間にさらにAlexaとの差が開いてしまうかもしれません。しかも、日本語版については言及もされていないようです。Siriは既に日本語に対応しているのに、なぜ出てこないのでしょうか。認識精度の問題なのか、処理するクラウドの能力の問題なのか……。

日本の製品に期待

 日本語の音声認識なら、日本企業に研究の蓄積があるはずです。

 現に2012年、Siriが発表されて半年後くらいにNTTドコモが「しゃべってコンシェル」を始めています。NTTの研究所がバックにあるわけですから、要素技術はあるはずです。

 今だって、ドコモとソニーかパナソニックが組めば、音声認識AI搭載のスピーカーなんてすぐにできてしまいそうです。外国勢がもたもたしている間になんとかならないでしょうか。

著者プロフィール:大越章司

外資系ソフトウェア/ハードウェアベンダーでマーケティングを経験。現在はIT企業向けのマーケティングコンサルタント。詳しいプロフィールはこちら


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